2023年9月8日

 大阪市職員労働組合 執行委員長 様

 

財政支部組合員

赤田 由行

 

年次大会運営についての申入れ

 

昨年10月15日の年次大会において、私の代議員発言について以下のやりとりがありました。

・財政支部代議員(財政支部長)「今の赤田代議員からの発言は支部として予定していたものではなく、個人的な発言となりますので、財政支部として答弁を求めることではない。ただ、個人的な発言に対して答弁をするべきかどうかはわかりかねるので、執行部に任せたい。こちらで調整ができておらず、申し訳ありません。」

・議長「支部の意見ではないということで、財政支部から発言がありました。大会討論は原則なことでいうと支部内の議論を通じてそれを本部に提案することが基本的なところになると思います。そうした意味で個人的な、方針転換の話もでていたと感じますので、答弁に値するのかどうか後ほど審議させていただきたい。」

・本部「答弁と言うかコメントをさせてもらう。本日は中央大会の場であり、規約上市職の最高議決機関ということになっている。一点目に申し上げられた会計年度任用職員制度に関わっては方針を転換するべきだという趣旨の発言であった。大会にはルールがあるので、修正案があるなら修正案の取り扱いになる。今の時点で修正案の提出はなく原案の下に大会がすすめられているという理解ですので、見解としては「見解の相違ですね」ということになる。ただ、大会の中で発言はあり、事実としてはあるので、受け止めさせてもらう。

 戦争反対については、「憲法改正断固反対大いに賛成。」ということであった。国葬    についても賛成する立場ではない。安倍さん自体に価値があるのかと言う議論になる。その価値がなければ国葬にはならない。ルールにも基づいていないので反対の立場だが、行動自体はその時点ではできなかった。戦争・平和については自治労・連合・平和人権センターに結集していきたい。マイナンバーについても、戦争のための国民総背番号制には反対の立場であります。」

 

 以上のやり取りについて以下のとおり申し入れます。

 

①私は財政支部中央委員会において正式に代議員として選ばれました。議長や執行部がその代議員の発言に優劣をつけ、答弁拒否することは根拠がなく、不当です。年次大会が執行部参加ではなく代議員制をとっているのは、支部内に複数の意見がある場合にもそれを取り上げ議論してこそ、最高の意思決定機関足りうるからであると考えます。支部長と違う意見に対して「答弁というかコメント」(本部)などと言って正式に議事に取り上げられないのであれば、支部長会議と変わりません。

 また、本部が「反対意見」と判断した会計年度任用職員制度の意見については本部は一切の答弁を拒否した一方、戦争反対の意見については一応「コメント」しました。すなわち、年次大会において本部が「反対意見」と判断したら、一切議事に付されないことになります。

 反対意見に対して「コメント」さえ行わなかった根拠規定は不明であり、これらの取り扱いは、最高の意思決定機関としての年次大会を貶めています。

 代議員制の本来の趣旨を本部・議長・大会運営委員が共有し、大会代議員の発言には本部が責任をもって答弁を行うことを求めます。

 

②「会計年度任用職員制度に反対するべき」という意見は、決して赤田代議員個人の発言ではなく、支部を横断して非正規労働者の組合員を中心に議論して作成したものです。大阪市で働く非正規労働者自身が「会計年度任用職員制度は運動の成果」という本部方針に疑問を感じ、真に闘う方針を求めていることに対し、本部の立場を明らかにすることさえ拒否したことは、いかなる意味でも許されません。

会計年度任用職員制度は「待遇改善」にはほど遠く、非正規労働者の組織化も進んでいません。自治労本部も大阪市職本部も「勤勉手当の支給」が前進だと宣伝していますが、毎年度解雇・評価で解雇・使用期間で解雇、というこの制度の根本的な矛盾は何ら解決されておらず、「正規の非正規化を通じた労働組合の解体」という政府の狙いはしっかり貫かれています。

私が年次大会において発言したとおり、会計年度任用職員制度開始3年目の一斉解雇もおこなわれました。評価制度を使った不当解雇の事例もでています。本部がこの制度の本質を見抜いて闘う方針を示すべきであったことがますますはっきりしています。労働組合として、この現実についてどう考え、どう闘っていくのか、年次大会の場で一言でも説明すべきだったのではないでしょうか。

 

③連合・芳野会長は、岸田政権幹部との会食を繰り返し、メーデーでも岸田首相に挨拶をさせ、自民党政府にすり寄っています。この7月に開催された連合主催の「サマートップセミナー」では、元シカゴ市長として教育労働運動をつぶす先頭にたったエマニュエル大使を呼んでパネルディスカッションを行い、拍手喝采をおくっています。これらの動きは戦時中に戦争を翼賛した「産業報国会」への道、そのものです。そして自治労本部は連合の「代表代行」として委員長を送り込み、芳野体制を支え、同じ道を進もうとしています。

今回の「答弁拒否」はそのような中で起きた問題ではないのでしょうか?本部執行委員長選挙において民生支部で起きた不正も、「赤田の意見には取り合わなくてもいい」という本部の態度によって引き起こされたのではないのでしょうか?

戦争に突き進む政府に取り入ろうとすれば、現場労働者の思いは切り捨てることになるのです。なぜなら、戦争に突き進む政府と現場労働者の利害は、相容れないからです。そのことに気づき、戦争の開始と職場の崩壊という情勢に対し、真に闘う方針をもとめて私に投票した組合員が、今なお703人もいます。

今、労働組合の方向性が本当に問われています。本部は、身勝手な組織論を振りかざして答弁拒否するのではなく、この703人の意見と向き合い格闘するべきです。

政府と徹底的に闘うことでこそ、展望は見えてきます。本当に強固な自治労運動、大阪市職の運動を作り出すために方針の転換が問われていることを、改めて訴えます。

 

【赤田代議員の発言】

①会計年度任用職員制度について

 本部は会計年度任用職員制度を「運動の成果」としているが、間違っている。制度制定時に「待遇改善につながる」と推進した経過があると思いますが、会計年度任用職員制度絶対反対を方針とするべきだ。以下、理由を述べる。

一点目にこの制度は、正規雇用を原則とした公務員制度に非正規雇用を明確化することで、公務員制度の根本的転換を図るものだ。正規の非正規への置き換えが目的である。地方では職場全員が会計年度任用職員になっているところもあると聞いています。

二点目に、「雇用」ではなく「任用」と明記されたことで労働法が適用されなくなっています。さらに非正規の単年度雇用を明確化し、さらに毎年度1ヶ月の試用期間と、評価制度が導入されたことなど、むしろ待遇改悪になってさえいると思います。この点について議案書は一言も触れていないが、どのように「成果」と言えるのか。

 すでに大阪市の職場で評価制度を使って再度任用しないこと、すなわち解雇を言い渡された仲間も出ており、絶対に許してはならないことだ。

三点目に、現実問題として待遇改善になっていないと思います。前歴加算がある人は昇給したから「待遇改善につながった」面もあると説明しているが、月例給が下がったことでより条件が悪くなったということが多くの非正規の仲間の感覚ではないでしょうか。結果として募集をかけても人が集まらず、多くの職場で欠員をだしていると思います。

 方針として非正規の待遇改善だけを求めるのは、非正規労働の固定化につながります。待遇改善は制度の制定ではなく、具体的な現場の闘いによってしか実現しないと思います。

 非正規の仲間からも「位置づけは補助なのに重大な責任を求められる。」だとか「命に係わる仕事なのに非正規雇用であること自体が間違っている」などの意見が出されている。この非正規の声は、現状を根本的に変えることを求める叫びだと思います。会計年度任用職員制度を前提として、この声にこたえられるでしょうか。この怒りを組合全体が体現し、「一人の解雇も許さない」「正規で雇え」と声を上げていくことだ。

 現在、岸田政権によって「防衛予算二倍化」と一体で全国の鉄道廃線の動きやDXの議論が始まっており、これは自治体の大再編につながる。民営化や非正規化、非正規への解雇が吹き荒れることは必至である。特に制度導入三年目で再度任用の上限を迎えて公募試験で一斉に落とされる非正規の仲間がでることが予想されますが、これは解雇である。1人の首切りも許さない闘いに立ち上がろう。

 

②戦争反対の取り組みについて

議案のP46、憲法改正に断固として反対するとの点について、大いに賛成である。

 ウクライナでの戦争は世界戦争の様を呈し、日米政府は対中国戦争の準備を着々とすすめている。戦争回避の努力など完全に放棄して開戦に向けて動いている。これは防衛戦争ではなく侵略戦争である。

 だからこそ今、具体的な行動が必要となっている。

 9月26日、市役所前で行われた国葬反対のデモには各地の教組が旗を掲げて参加した。大阪市職も動員参加するべきだったのではないか。

 職場ではマイナンバーカード取得の執拗な催促に対して「国民総背番号制反対」の立場から拒否を続けている組合員がいる。今こそ大阪市職が「国民総背番号制反対」の旗をふるべきではないのか。

 連合は、芳野会長が安倍の国葬に出席し、マイナンバーカードは「利用拡大」の立場だ。連合の代表代行は自治労出身の川本氏であるが、大阪市職は「芳本会長路線」と対決するべきではないのか。

 昨年の大会で私の発言に対し、本部は「政策実現闘争しかない」と言った。しかし立場がフラフラの立憲民主党に一体何ができるのか。大事なのは現場組合員が戦争反対の声を上げることだ。

 南西諸島では、戦時の「避難計画制定」「シェルター建設」など、戦争に関連する業務が自治体に入り込んできている。地元が反対の声を上げる中、労働組合の闘いがなければ自治体労働者は政府の手先になるしかない。松井市長の「地下鉄をシェルターに指定する」という発言をしているが「守れるかどうか」以上に戦争にむけたキャンペーンとしてやっていると思います。こういうことを具体的に批判すべきだ。戦争協力拒否の闘いを始めよう。