●戦争のために社会が根本から変えられようとしている 

 岸田政権は12月16日、反撃能力=敵基地攻撃能力を正式に盛り込んだ安保3文書を閣議決定し、先制攻撃への道を開きました。同時に「5年で43兆円」の大軍拡予算を強行しようとしています。憲法9条の息の根を止めて、再び侵略戦争に突入することを宣言したのです。

 空前の物価高騰をよそに、12月13日の自民党役員会で岸田首相は「(防衛費負担は)今を生きる国民の責任」と言い切り、年金減額や消費税増税など新たな負担を当然のように打ち出しています。戦前の「欲しがりません勝つまでは」と言わんばかりです。

5年で43兆円の財源には大増税はもちろんのことコロナ対策費や東日本大震災・福島第一原発事故の「復興特別所得税」を流用するなどという議論まで始まっています。

「国立兵器工場」の建設や、特定国への敵対心を醸成し反戦の機運を払拭するための世論工作が検討されていることも明らかになっています。

 岸田政権は「戦後の我が国の安全保障政策を実践面から大きく転換する」(国家安保戦略)と言って、戦争のために国のあり方を根本的に変えようとしています。戦争反対の闘いが必要です。

 

<12月9日 共同通信>

●ウクライナ戦争はどこまでも泥沼化する

 

 ウクライナ戦争は、アメリカ・NATOの全面的な軍事援助を受けたゼレンスキー政権が、「反撃」「抑止」の名のもと、ついにロシア本土奥深くへ攻撃を繰り返すという、完全に泥沼の段階に来ました。

 この戦争がロシアによる侵略戦争・ウクライナの防衛戦争というレベルのものではなく、アメリカ・NATOとロシアによる世界戦争の始まりだということが、いよいよ明らかになっています。

 ゼレンスキーにもプーチンにも正義などありません。そのことは、どちらにも自国政府の戦争政策に抗して立ち上がっている国民がいることが証明しています。世界の労働者民衆がこれに連帯し、自国政府のウクライナ戦争支援に反対して立ち上がっています。

 

●中国への侵略戦争開始が本当の狙い

 バイデン政権は、ウクライナ戦争を中国侵略戦争の一部として構えています。

 米政府は、ウクライナ戦争が始まってからも一貫して「中国への対応」を戦争政策の「第1位」に置いています。バイデン政権が10月に公表した国家安全保障戦略(NSS)では、「中国を打ち負かし、ロシアを抑えつける」と明記し、「(中国は)国際秩序の再構築をめざす意思をもち、実現のために経済、外交、軍事、技術の力を向上させている唯一の競争相手」と規定し、さらに「(今後は)米主導の国際秩序に挑む中国との競争を決定づける10年となる」と打ち出しました。まずロシアを徹底的に弱体化させ、中ロの「同盟」あるいは連合を阻止・粉砕し、そうして中国侵略戦争に総力をあげるということです。ウクライナをどこまでも地獄の戦場にしながら、欧州と東アジア―インド太平洋を丸ごと戦場化する第3次世界大戦の現実的切迫です。

 

●これは防衛戦争ではなく侵略戦争。労働者の国際連帯こそ戦争を止める力

 岸田政権の煽る中国脅威論や「抑止力・国防強化」の大宣伝は、決して私たちの命や生活を守るためのものではありません。1月10日に米下院で「米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」の設置が可決された際、マッカーシー下院議長は「私の最も心配していることの一つは、中国の後塵を拝することだ」と述べています。バイデン政権は台湾の民衆のためではなく、国益と言う名の資本家の利益のために戦争を構えているのです。

 与那国島では戦時の避難訓練が学校でも始まっています。12月27日に打ち出された与那国島へのミサイル配備に対し、かつて自衛隊誘致に賛成した住民からも「戦争を誘発する」と怒りの声が上がっています。

 何より岸田政権が「敵国」と措定している中国の国内から、強権政治に対し「もう我慢ならない!」と習近平打倒を目指す実力の闘いが始まっています。戦争に突き進む岸田政権を打倒する闘いを巻き起こし、習近平やプーチンと闘う中国・ロシアの労働者との国境を越えた連帯をつくりだすことこそが、戦争を止める唯一の道です。

 

●連合の屈服を打ち破り、現場から戦争協力拒否の声を上げよう

 安保3文書の閣議決定と大軍拡に対し、連合芳野会長は「政府の説明責任」「国会での丁寧な議論」を求めると述べるだけで、全く闘う気がありません。その芳野会長を自治労出身の川本会長代行、日教組出身の松浦会長代行が「自分の芯を持ちながら、非常に難しい判断もされてこられた」などと持ち上げて支えています。本当に我慢がなりません。戦争がこれから私たちの「業務」とされます。自治体現場から戦争反対の声を上げることが最大の反戦運動です。自治体労働運動の誇りと責任にかけて、今こそ立ち上がりましょう。