『花よりも花の如く』成田美名子(白泉社花とゆめコミックス) | 読書鷲の読書日記

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『花よりも花の如く』成田美名子
(白泉社花とゆめコミックス)




既刊12巻、以下続刊。


能楽師・榊原憲人(さかきばらのりと)が
主人公の、能楽漫画です。



作中では現在2001年。
実際は憲人のほうがわたしより年上です。

が、連載開始時は
当時の憲人とそう変わらない年齢だった
はずなのに、
今では軽く追い越しています。


よくあるよくある。


でも、
時事風俗などの細かいところが
きちんと当時の状況に則っているので、
懐かしくもあり楽しくもあり。


過去の物語のはずなのに、
小物やファッションが
今と同じ作品ってよくありますからね。


あと、
成田美名子さんの作品への入り口が
何だったかもう思い出せないのですが、
文庫になっている短編集の
いずれかだったと思います。

そこから過去の長編も網羅して
今に至ります。

何か一つのきっかけで
特定の作家さん(特に漫画家さん)に
ハマると、
以前の作品まで
ほとんどすべて集め出す困った癖が
あるので、
一気に本が増えてしまいます。

成田美名子さんもそうでした。

なので、
我が家には単行本と文庫で
成田美名子さんの作品が揃っています。


ですが、
現在連載中ということもあってか、
一番読み返すのは、
この『花よりも花の如く』です。


能は今まで一度も
観たことがないのですが、
それでも、『羽衣』や『熊野』など、
何となく聞いたことのある曲目が
出てくるので楽しいです。


そして、能に興味が湧いてきます。
いつかちゃんと観に行ってみたい。



それから、
わたしにとって重要なポイントがひとつ。


 和服がちゃんと描かれている。


これです。


作者の成田美名子さんが
若い頃、
一冬和服で生活したというだけあって、
和服がすごくちゃんとしている。


チョイ役はもちろん、
時代物や伝統芸能の世界を描いていても、
和服がぜんぜんちゃんとしていない作品が
とても多くて、
もうその時点で読む気が失せてしまう
のですが。


成田美名子さんや波津彬子さん
渡辺多恵子さんの『風光る』
(小学館フラワーコミックス)
などは、
和服が綺麗だし、
人物が動いていても
不自然なところがないので、
目に美しいです。


実際に着ていても絵に描くことは
難しいので、
それをきちんと描けるっていうのは
すごいなあといつも思います。


たぶん、
現役の漫画家さんや
イラストレーターさんでも
描けない人が大半で、
きちんと描ける人のほうが
少数派なのでしょう。


でも、
合わせが逆とかは、
さすがに出版物になる前に
誰か訂正してよと思います。


もうそれだけで、
作品そのものを読む気が
なくなってしまうので。


それで、
『読まず嫌い』みたいに
なってしまっている作品も
多いかもしれません。

残念。



さて、肝心の『花よりも花の如く』。

憲人は内弟子を卒業して玄人になり、
大きな舞台を経験し、
文化の違いを乗り越えて海外公演も
こなしています。

そして能役者の役で
テレビドラマデビュー。

もうすぐ、
『道成寺』という大舞台も待っています。

そんな中、
狂言方の家に生まれた
年上の女性・葉月との関係が
進展するのかしないのか、
ああもうじれったい、と思いながら
見守ってきましたが、

12巻の最後でついに告白。

さて、どうなるのやら?


という、
ものすごいところで引いています。

次はほぼ一年後……?


ああ気になる。


て言うか、
最終的に一緒になると信じてますけど。


今更この二人に、
それぞれ別の相手とか出てこられても
読者として困りますけど。




それも含め、
憲人が今後能楽師として
どんなふうに成長していくのか、
周りの人たちはどう関わってくるのか。


とても楽しみな作品なので、
続きを楽しみに待っています♪