― そして我々は、ど変態となった ―
2024年の年末。
ついに、バイクを注文した。
結局選んだのは、グロムである。
誰に聞いても、だいたい最後はここに着地する。
これはもはや選択というより、自然法則に近い。
かくして
バイク沼計画・必須ミッションのひとつ達成。祝。
選んだのはHRCグロム。
先日サーキットで知り合ったライコランドのHさんに取り次いでもらった。
HRCグロムには、いくつかの代理店が
「これが我が理想である」
と胸を張って差し出すコンプリートマシンが存在する。
モリワキ、バトルファクトリー、その他いろいろ。
マフラーが違う、カウルが違う、思想が違う‥とは思うが、
素人目にはようわからんのである。
とくにこだわりもないので、
Hさんのつてでエトスデザイン仕様を選んだ。
──が、世の中そう都合よくは進まない。
聞けば、いまHRCグロムは大人気らしい。
出荷台数よりも、注文件数のほうが多いという。
つまり、待て、ということだ。
この時点での説明は、
「年明けて、3月くらいですかね」
春から走れたらちょうどいい。
私はそう思い、
未来を春色に塗って安心していた。
このときは。
しかし現実は、
こちらの楽観をものともせず、
悠然と遅れてやってきた。
エトスデザインさんから
「できました」
という連絡があったのは、6月末。
そこからさらに、
ライコランドでハンドルやレバーの変更、
足回りのセッティングなどを施してもらい、
すべてが完成したのは──7月。
長かった。
実に長かった。
季節は、もはや真夏。
セミは狂ったように泣きわめき、
空には入道雲がもくもくとそびえ立つ。
世間の人々は、
海へ行き、山へ行き、
あるいはクーラーの効いた部屋で
アイスなどを食べている頃合いである。
それなのに。
我々は、である。
レーシングスーツを身にまとい、
灼熱のアスファルトの上で、
小さなバイクを振り回す準備をしている。
──そう。
気づけば我々は、
バイクを乗り回すど変態たちの仲間入りを果たしていた。
こうして、
春に始まるはずだった物語は、
真夏の太陽の下で、
ようやくエンジンをかけることになった。
補足であるがHさんは某インフルエンサーのグロムも担当しており、
足回りのセッティングは信頼と実績の丸パクリでお願いした。
