Steve Vaiと聴いたら、普通の人(?)は"変態的なバカテクギタリスト"という言葉を想像するのではないだろうか?実は私もそうで(という事は私も普通の人?)、Van Halen脱退後のDavid Lee Rothの1986年の1stソロアルバム『Eat 'Em And Smile』の1曲目「Yankee Rose」の冒頭にてエレクトリックギターで"くゎ~っくゎっくゎっくゎっ"と笑ってみせたり、David Lee Rothとギターで会話しちゃったりするのである。

 

ネックが3本のハート型のボディのギターを持つSteve Vai

 

このギターなんてもう武器だな

 

【1986年】Eat 'Em And Smile/David Lee Roth

 

Steve VaiはDavid Lee Rothのバンドの他に、元RainbowのヴォーカリストGraham BonnetのバンドAlcatrazzに参加したり、元Deep PurpleのヴォーカリストDavid CoverdaleのWhitesnakeに参加したりした印象でHR/HM(ハードロック/ヘヴィメタル)のギタリストと思われがちだと思うのだが、実はデビューは前衛音楽家のFrank Zappaのバンドだった事は、余程Steve Vaiを好きでないと意外と知られていないのじゃないかな?

 

【1985年】Disturbing The Peace/Alcatrazz

 

【1989年】Slip Of The Tongue/Whitesnake

 

昔々、私が雑誌『BURRN!』を愛読するHR/HM小僧だった時、Steve Vaiがソロアルバム『Passion And Warfare』をリリースした事を知っていたが、聴いていなかった。

 

【1990年】Passion And Warfare

 

今、私は中国は上海に住んでいるが、再びSteve Vaiが気になったのは少し前の事で、端境前衛面白レコードショップSHE Ye, YeのホームページにSteve Vaiの1stソロアルバム『Flex-Able』が紹介された時である。今は『Flex-Able』の紹介はもう無いが、当時は"なぜSHE Ye, YeでSteve Vaiのアルバムを紹介しているのかな?"と不思議に思ったものだ。

 

何のきっかけだったか忘れてしまったが、この『Flex-Able』を聴いてみようと思って聴いてみたら大正解!めっちゃ面白いアルバムだった!!

 

【1984年】Flex-Able/Steve Vai

 

これは『Flex-Able』のオリジナルジャケット

 

【収録曲】

 

A1. Little Green Man

A2. Viv Woman

A3. Lovers Are Crazy

A4. Salamanders In The Sun

A5. The Boy / Girl Song

B1. The Attitude Song

B2. Call It Sleep

B3. Junkie

B4. Bill's Private Parts

B5. Next Stop Earth

B6. There's Something Dead In Here

 

【クレジット】

 

Steve Vai: electric guitar, acoustic guitar, synthesizer, bass, percussion, piano, keyboards, sitar, vocals, bells, producer, engineer, drum machine, drum programming, design, and mixing

Scott Collard: synthesizer, keyboards, Fender Rhodes
Larry Crane: lyre, xylophone, bells, vibraphone
Greg Degler: clarinet, flute, saxophone
Joe Despagni: sound effects
Laurel Fishman: vocals
Peggy Foster: bass
Chris Frazier: drums
Stuart Hamm: bass, sound effects, vocals, vocals (background)
Bob Harris: trumpet, vocals (as Irney Rantin)
Suzannah Harris (as Ursula Rayven): vocals
Billy James: percussion, drums
Paul Lemcke: keyboards
Pia Maiocco: vocals
Tommy Mars: violin, keyboards, vocals
Lill Vai: sound effects
Chad Wackerman: drums
Pete Zeldman: percussion, drums

 

『Flex-Able』のアルバムジャケットを見ると、Steve Vaiが持っているギターのネックはグニャッと曲がっていて、背景の空からは宇宙船に乗った緑色の宇宙人がSteve Vaiの足元を回って左手前に出てきているという絵である。しかもこの絵は下手とは言わない(いや、言いたい)が、あまり上手くない。オリジナルジャケットは更に訳がわからず、ハートに引っ付いた何かを右手で引っ張っているという絵である。

 

さて、そのサウンドだが、先ずクレジットの使用楽器を見るとHR/HMでは使わない楽器を使っている。A面1曲目「Little Green Man」(宇宙船に乗った緑色の宇宙人の事かな?)を聴いた時に私の頭に浮かんだ言葉はアヴァンポップ/エレクトロである。この曲のヴォーカルはチップマンクス声である。Steve Vaiの音楽を表すのにエレクトロとかチップマンクスという言葉を使う事になるとは思わなかった。A面5曲目「The Boy / Girl Song」はめっちゃ爽やかなネオアコのようなサイクリング的な(?)曲である。こう書くとSteve Vaiのギターの凄さが伝わり難いのだけど、それがわかるのはB面に入ってからだ。B面1曲目から3曲目ではエッジが立った変態的バカテクなSteve Vaiのギターは非常に面白い!B面1曲目「The Attitude Song」はちょっとHR/HM+フュージョン的な曲、B面2曲目 「Call It Sleep」は冒頭バラードっぽいのだが、色んな音楽ジャンルのギタースタイルが聴ける曲。B面3曲目「Junkie」はちょっと感動的で熱い曲でこのアルバムのハイライトだ。B面4曲目「Bill's Private Parts」はなぜかSteve Vaiのギターが入らないパーカッションソロの曲だ。B面5曲目「Next Stop Earth」はそのタイトルが前衛ジャズのSun RaのESP三部作の一枚『Nothin Is...』収録のラストの曲「Next Stop Mars」を思わせてニヤリとさせられるが、Steve Vaiの面白ギターソロ曲。B面6曲目「There's Something Dead In Here」はちょっとプログレ/カンタベリーっぽい感じも受ける。

 

『Passion And Warfare』も聴いたが、『Flex-Able』で感じた面白さは残っているものの、それまでに通過したHR/HMバンドのサウンドの色が少し強くなっているような気がしたので、面白音楽ファンにオススメするのは、やはり『Flex-Able』である。

 

Alcatrazzの『Disturbing The Peace』とWhitesnakeの『Slip Of The Tongue』も聴いたが、『Disturbing The Peace』はGraham BonnetがRainbowを引き摺っているのか意外とキーボードが前面に出ている印象、Graham Bonnetのがなる歌唱が聴いていて少し疲れた。『Slip Of The Tongue』は昔聴いている筈なのだが、David Coverdaleってこんなにハイトーンでシャウトしていたっけ?という感じで、これから初期のWhitesnakeのアルバムを聴き直してみようと思った。しかし、『Disturbing The Peace』も『Slip Of The Tongue』もSteve Vaiが加入した事で、Van Halenっぽいアメリカンな感じが加わっているね。

 

意外と面白く、聴いた時に"『Flex-Able』の影響はこれだな"と思ったのが、Frank Zappaの『Tinsel Town Rebellion』だった。

 

【1981年】Tinsel Town Rebellion/Frank Zappa

 

初期のThe Mothers Of Invention時代のアルバムは前衛色が強いと思うが、このアルバムは面白音楽アルバムで『Flex-Able』に通じる面白さが有った。つまり、自分が参加したFrank Zappaのバンドの影響をモロに受けて作ったのが『Flex-Able』だったという事なんだろうね。これからSteve Vaiが参加したFrank Zappaのアルバムをもっと聴いていく予定だ。

 

最後に…You TubeにDavid Lee Rothの「Yankee Rose」のMVが有ったので貼っておく。冒頭、寸劇が有って、寸劇の最後に『Eat 'Em And Smile』のアルバムジャケットのメイクを施したDavid Lee Rothが出てきてライヴ動画になだれ込む。'80年代らしいド派手なHR/HM、David Lee Rothのパフォーマンスが素晴らしいのは当然の事、Steve Vaiの"くゎ~っくゎっくゎっくゎっ"も聴ける。ちょっと元気の無い時に、こういうバカっぽい(褒めてます)最高の音楽を聴くと元気が出るね!この動画を観てSteve Vaiのギターに興味を持ったら、是非『Flex-Able』を聴いてほしい。絶対に聴いて損は無いから!

 

 

本当に最後に…AlcatrazzでYngwie Malmsteenを思い出したので、これから彼のアルバムも聴いていく予定だ。

 

本当に本当に最後に…Yingwie Malmsteenというとロケットニュース24の中澤記者を思い出すよね。

 

↓ロケットニュース24の中澤記者によるYingwie Malmsteenの記事はこちら。面白いよ!

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