今月八月に一時帰国した時に、音楽の終活用で買っておいたレコードを聴いた。今回紹介するのはZeni Gevaの、という枕詞を付けた方がわかり易いと思うK.K. Nullこと岸野一之のNull名義で自身が運営するNux Organizationから1985年にリリースした1st LP『最終物質』だ。
メタルジャケット表
メタルジャケット裏
インナー表
インナー裏
レコードA面
レコードB面
【収録曲】
A1. Ultima
B1. Materia
このアルバムはK.K. Nullのソロアルバムである。ジャケットは厚めの金属でできているメタルジャケットである。インナーを見るとA面はギターとヴォイス、B面はギター、ヴォイスの他にパーカッションの記載が有るが、このパーカッションはメタルパーカッション…というより金属を叩いている音だ。
このアルバムを今の私の日本の相棒、コロンビアのポータブルレコードプレーヤーのショボい音で聴いた訳だが、それでもこの音楽は私が大好きな音楽であり、傑作である事がわかった。いやぁ、もっと良いオーディオシステムで大音量で聴きたかったなぁ…
このアルバムの音楽を一言で表すとノイズミュージックである。しかし、音の粒子が荒く、K.K. Nullの怒号のような叫びも有り、私の心の琴線に触れるノイズミュージックだった。私はK.K. NullのロックバンドであるZeni Gevaが大好きなのだが、Zeni Gevaの音楽が好きな人なら、このノイズミュージック(と言うより私にとってはこれもロック)はすんなり受け入れる事ができるだろう。
ここで聴かれるノイズミュージックは日本のキング・オブ・ノイズ、非常階段の『King Of Noise』や『Tapes』のような粒子が荒く、速度を感じるノイズミュージックに近いのだが、K.K. Nullが作るノイズミュージックの方に少しメロディーラインを感じるのは、この後に結成するZeni Gevaでも聴かれるドラマティックな要素が、ソロのノイズミュージックの時点でも既に有ったという事だろう。(普通の人(?)は只のノイズと思うだろう。)
K.K. Nullの初期のソロアルバムは再発、サブスク解禁されていないのは何故だろう?今のK.K. Nullが作る音楽とは違うからなのかな?もしそうだとしたら、勿体無い事のように思う。'80年代の機材で作った音楽であっても、と言うか、だからこそプリミティヴで素晴らしい音楽だと思うからだ。まぁ、今はこう言うけど、若い頃はその良さがサッパリわからなかったんだけどね。
入手困難なアルバムだと思うが、Discogsだったら買えるので、この先、再発或いはサブスク解禁になるのが待てないK.K. NullファンはDiscogsで買って聴いてみては如何だろうか?このアルバムはZeni Gevaやノイズミュージックのファンだけでなく、亡くなった生悦住英夫が運営していたP.S.F. Recordsからリリースされたアルバムが好きな人も気に入ると思うよ。
K.K. NullとZeni Gevaが気になった人は以下のFacebookを覗いてみるといいよ。
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↓Zeni Gevaの