いやぁ、生きていれば良い事が有る。上海に居て、ちあきなおみを聴けるようになるとは思わなかった。遂に!ちあきなおみのアルバムとシングル曲がサブスク解禁となった!嬉し~い!

 

私がちあきなおみを聴いたのは、幾ら私がオジ(イ)サンと言っても当然リアルタイムではない。確か根本敬・湯浅学・船橋英雄の幻の名盤解放同盟による『幻の名盤解放歌集』シリーズがリリースされた頃、古本屋ちんき堂店主の戸川昌士の『猟盤日記』が刊行された頃の'90年代だったと思う。

 

レコードを聴いたのが先だったか忘れたが、とても印象に残っているのは、仕事の関係で会社の先輩と深夜の高速道路を走っている時にAMラジオからちあきなおみの代表曲「喝采」などの曲が流れてきた時である。この時は彼女の歌が本当に心に身体に沁み入るような感じがしたものだ。もう一つのシチュエーションは町工場で聴いた時だ。その会社は小さな町工場だったのだが、現場に有線ラジオを流していて、パートのオバチャンはそれを聴きながら働いていたのだが、或る日、有線ラジオから流れて来たのが確か「四つのお願い」と「X+Y=LOVE」で、なぜか現場の雰囲気とマッチしているな、と感じたものだ。

 

聴いたレコードだが、アルバムは確か1972年に日本コロムビアからリリースされたベストアルバム『喝采』だけだったと思う。

 

【1972年:ベストアルバム】喝采 ~華やかなスポット・ライトに涙が光る~

 

喝采 (裏ジャケット…歌詞が掲載されている)

 

【収録曲】

 

A1. 喝采

A2. 四つのお願い

A3. 雨に濡れた慕情

A4. 別れたあとで

A5. マニキュアがかわくまで

A6. 私という女

B1. 禁じられた恋の島

B2. X+Y=LOVE

B3. 朝がくるまえに

B4. 恋した女

B5. 最后の電話

B6. 今日で終って

 

ちあきなおみの歌は7"シングルをジャケ買いで結構買った。確か買ったのは以下の日本コロムビア時代の7"シングルだ。

 

【1969年:7"シングル】朝がくるまえに/夜は誰にもあげないで

 

【1970年:7"シングル】X+Y=LOVE/想い出なんてほしくない

 

【1970年:7"シングル】四つのお願い/恋のめくら

 

【1971年:7"シングル】無駄な抵抗やめましょう/私をもう一度

 

【1972年:7"シングル】喝采/最后の電話 …今、気が付いたが、最後ではなく最后と中国の簡体字だったんだな。

 

【1974年:7"シングル】円舞曲/女の旅

 

私のちあきなおみの印象はとにかくベストアルバムの『喝采』で、とにかくこの曲順で聴きたいのだが、多分、今までこのベストアルバムはCD化もされていない筈だ。

 

2000年に6枚組CDボックス『これくしょん~ねぇあんた』がリリースされて、CDショップで見つけた時は買いたいと思ったが、値段が高くて泣く泣く無い後ろ髪を引かれながら、CDショップを後にしたものだった。そして結局買いそびれたまま、中国は上海に来て現在に至っている。

 

今回リリースされたアルバムの中にベストアルバムの『喝采』が有るか探してみたら、やはり…無い。しかし、今回はラッキーな事に7"シングルもサブスク解禁となっている。そこで7"シングル曲をダウンロードして、ベストアルバム『喝采』を再現して聴いてみた。

 

1曲目の「喝采」のイントロが始まった時、昔の思い出が蘇ってきた。そして、やはり、ちあきなおみの歌は今聴いても素晴らしかった。バックのサウンドは当時の歌謡曲のバンド/ストリングスのサウンドで、そこにちあきなおみのちょっと深くちょっと鼻にかかったような声の歌が乗る。「喝采」は言わずと知れたドラマチック歌謡の大名曲で大好きな曲だ。「四つのお願い」や「X+Y=LOVE」のような歌では少し甘えたような歌い方になったりする所が有るが、可愛い感じで全くいい!「雨に濡れた慕情」や「朝がくるまえに」はジャジーでグルーヴィーな歌謡曲でカッコイイ。「マニキュアがかわくまで」もちょっとグルーヴィーな歌謡曲で、この曲は歌詞の世界がちょっと可愛い曲だ。「禁じられた恋の島」や「最后の電話」はポップでグルーヴィーな歌謡曲。昔の歌謡曲はベースの音が結構大きいので、演歌っぽくない歌謡曲ではグルーヴィーに聴こえるのだ。「恋した女」は昔のビッグバンドジャズっぽく明るい歌謡曲だ。「別れたあとで」や「私という女」、「今日で終わって」はしっとりとしたこれぞ歌謡曲という感じ。演歌っぽいと言えば演歌っぽいかな?ちあきなおみの歌はポップな歌でも時々少しだけ演歌っぽい歌い方になる所が有るが、私は嫌いじゃない。今、聴き返すと、この日本コロムビア初期のベストアルバムはドラマチックでグルーヴィーな歌謡曲の名盤で、これからちあきなおみを聴いてみようと言う人にオススメのベストアルバムと言える。CD化されていないんだけどね…

 

今回ダウンロードした曲を最初はイヤフォンで聴いた。各楽器やヴォーカルの音の分離は良いのだが、スピーカーから音を出して聴いた方がバックのサウンドが自然な感じで、ちあきなおみのヴォーカルのバックという感じに聴こえるので、ちあきなおみの曲を聴く時、私はスピーカーから音を出して聴く事をオススメする。

 

それにしても今回のサブスク解禁は嬉しい限りだ。早速、これから日本コロムビアから1970年にリリースされた1stスタジオアルバム『四つのお願い あなたに呼びかけるちあきなおみ』から順番に、ちあきなおみのアルバムを聴いて行くつもりだ。

 

最後に、You Tubeに1972年に『喝采』がレコード大賞を受賞した時の動画が有ったので貼っておく。やはり、『喝采』は時代を超えた大名曲だね!

 

 

この動画を観ていて、私がちあきなおみの歌のどこに魅かれているのかわかった。それは彼女の歌に対するひたむきさが歌を聴いていて感じられるからだと思った。