どうも2月から病気をしたり忙しかったりVPN接続が悪かったりと、全然ブログを書く気持ちにならなかったのだが、最近VPN接続が安定しているのと、今までMP3で聴けなかったアルバムも聴けるようになった事から、気持ちが少し上向いてきた。現在はあれも聴きたいこれも聴きたい状態なのだが、なかなかゆっくり音楽を聴く時間も無く、未聴のアルバムが増えていくばかり。そんな中で最近聴いて良かったのが"デッケネ"=Dead Kennedysである。
Dead Kennedys
Jello Biafra: vocals
East Bay Ray: guitar
Klaus Flouride: bass
Ted: drums ※1stアルバムのみ
D.H. Perigro: drums
私が聴いたアルバムは4枚のスタジオアルバムと1枚のミニアルバムだ。1stアルバムはCherry Redから、それ以外はAlternative Tentaclesからのリリースである。
【1980年】Fresh Fruit For Rotting Vegetables
A1. Kill The Poor
A2. Forward To Death
A3. When Ya Get Drafted
A4. Let's Lynch The Landlord
A5. Drug Me
A6. Your Emotions
A7. Chemical Warfare
B1. California Über Alles
B2. I Kill Children
B3. Stealing Peoples' Mail
B4. Funland At The Beach
B5. Ill In The Head
B6. Holiday In Cambodia
B7. Viva Las Vegas
【1981年】In God We Trust, Inc.
A1. Religious Vomit
A2. Moral Majority
A3. Hyperactive Child
A4. Kepone Factory
A5. Dog Bite
B1. Nazi Punks Fuck Off
B2. We've Got A Bigger Problem Now
B3. Rawhide
【1982年】Plastic Surgery Disasters
A1. Government Flu
A2. Terminal Preppie
A3. Trust Your Mechanic
A4. Well Paid Scientist
A5. Buzzbomb
A6. Forest Fire
A7. Halloween
A8. Winnebago Warrior
B1. Riot
B2. Bleed For Me
B3. I Am The Owl
B4. Dead End
B5. Moon Over Marin
【1985年】Frankenchrist
A1. Soup Is Good Food
A2. Hellnation
A3. This Could Be Anywhere (This Could Be Everywhere)
A4. A Growing Boy Needs His Lunch
A5. Chicken Farm
B1. Jock-O-Rama (Invasion Of The Beef Patrol)
B2. Goons Of Hazzard
B3. M.T.V. - Get Off The Air
B4. At My Job
B5. Stars And Stripes Of Corruption
【Bedtime For Democracy】
A01. Take This Job And Shove It
A02. Hop With The Jet Set
A03. Dear Abby
A04. Rambozo The Clown
A05. Fleshdunce
A06. The Great Wall
A07. Shrink
A08. Triumph Of The Swill
A09. Macho Insecurity
A10. I Spy
A11. Cesspools In Eden
B01. One-Way Ticket To Pluto
B02. Do The Slag
B03. A Commercial
B04. Gone With My Wind
B05. Anarchy For Sale
B06. Chickenshit Conformist
B07. Where Do Ya Draw The Line
B08. Potshot Heard Around The World
B09. D.M.S.O.
B10. Lie Detector
実は1stアルバムの『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』は以前聴いていたのだが、Jello Biafraの歌い方がSex PistolsのJohnny Rotten (John Lydon)に似ているような気がして、きちんと聴いていなかった。しかし、Dead Kennedysの名前はその後も何だかずっと気になっていて、先日、中国は上海に居る私でも、1stアルバム後のEP『In God We Trust, Inc.』と2ndから4thアルバムをMP3で聴けるようになったので聴いたところ、なぜかオジ(イ)サンの私のハートにDead Kennedysの音楽がグサッと突き刺さってしまったという訳だ。
一番良かったのは『In God We Trust, Inc.』だ。ハードコアパンクに全振りしたような、Jello Biafraががなるように歌う高速ハードコアパンクは本当にカッコイイ!速いだけではなく、A2「Moral Majority」やB2「We've Got A Bigger Problem Now」のように、最初"あれ?"と思わせておいて、途中から高速ハードコアパンクになだれ込む曲も収録しているのが心憎い。B1「Nazi Punks Fuck Off」のような代表曲が良いのは当然だが、実は私が一番好きな曲はラストのB3「Rawhide」である。「Rawhide」と言えば西部劇のドラマでFrankie Laineが歌っているのだが、私はThe Brues Brothersが映画で演奏した「Rawhide」が好きだった。しかし、今は違う。Dead Kennedys版の「Rawhide」がThe Blues Brothersに勝ってしまった!カッコ良過ぎなのだ!Jello Biafraの"ヒーハッ!"もばっちりキマッている。本当にこのEPを聴けてよかった!
Dead Kennedysの「Rawhide」の演奏動画がYou Tubeに有った。スタジオライヴと1984年のライヴの動画だ。前者はDead Kennedys版の「Rawhide」がどのような感じか知ってほしいために、後者はそれが本当のライヴではどうなるのかを知ってほしいために貼っておく。いやぁ~、ハードコアパンクのライヴはやっぱり熱いッ!
Dead Kennedysの音楽はシニカルでブラックジョークに満ちたものであるのは変わらないのだが、音楽性だけ見れば、ガレージっぽいパンク(『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』)からハードコアパンク(『In God We Trust, Inc.』)、そしてアヴァンギャルドなハードコアパンク(『Plastic Surgery Disasters』)、オルタナティヴロックな(『Frankenchrist』)、原点回帰した(『Bedtime For Democracy』)と変化していったように思う。
昔はそれ程好きではなかった『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』が今では良く聴こえるのだから、人生とは不思議なものだ。『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』ではA7「Chemical Warfare」が一番好きで、この曲は構成も面白いのだが、MP3アルバムで聴くと続けざまにB1「California Über Alles」になだれ込む。これはレコードでは味わえない棚ボタ的な面白さだ。B6「Holiday In Cambodia」からガラッと曲調が変わるラストのB7「Viva Las Vegas」の流れも面白い。
『Plastic Surgery Disasters』はA面ではA7「Halloween」とA8「Winnebago Warrior」の流れが好きだ。A8は最後のJello Biafraの"ヒーハッ!"がこれまたばっちりキマッている。「Rawhide」で味をしめたかな?B面はB1「Riot」とB2「Bleed For Me」はこれらも最初は"あれ?"と思わせておいて、途中から高速ハードコアパンクになる曲で、展開が面白い。Dead Kennedysは曲の展開が面白く、聴いていて"プログレ的でもあるな"と思ったりする。B3「I Am The Owl」以降はハードコアパンク的ではなくなる。B面で私が好きな曲はB4「Dead End」とB5「Moon Over Marin」で、B4は渋くカッコイイ感じ、B5は音楽性だけ見ると、ポジティヴでちょっと感動的ですらある…と思っていると、そこはやっぱりDead Kennedys、感動的な終わりが有る筈は無く、曲が終わった最後にアヴァンギャルドでノイジーなサウンドが来る。そして、"あぁ、このアルバムはイントロが有って、アウトロが有るんだな"という事に気が付く。全体的に『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』に有ったガレージパンクっぽいポップさが後退して、音楽的なアヴァンギャルドさが出たアルバムになっていると思う。
『Frankenchrist』はバラエティ豊かなオルタナティヴロックという感じで、ハードコアパンク的な曲はA2「Hellnation」と冒頭ポップなロックンロールで後にハードコアパンクと化すB3「M.T.V. Get Off The Air」くらいだ。好きと言うか妙に印象に残るのはA5「Chicken Farm」で、ギターがちょっとアラビアン?インド?沖縄?っぽいフレーズを弾いたり、Jello Biafraが高らかに歌うサビの部分の"ちきんふぁ~~む!"が何だか妙に頭に残るのだ。全体的にはオルタナティヴロック+Jello Biafraのヴォーカルの所為なのか、イルと言うか底意地が悪そうな感じが良い(?)アルバムだ。
ラストアルバムの『Bedtime For Democracy』は変わって行くハードコアパンク・シーンへの置き土産と言った意味合いが有るのか、原点回帰したようなDead Kennedys印のハードコアパンクなアルバムである。ミディアムテンポな曲はA面ラストのA11「Cesspools In Eden」くらい、しかし、この曲と言うかA面の終わり方が何ともDead Kennedys/Jello Biafraらしい終わり方でケチの付け所は無い。B面は短い寸劇のようなB3「A Commercial」とB9「D.M.S.O.」が有るものの、基本的にハードコアパンクである。『In God We Trust, Inc.』を気に入った人(私のような人)なら、このアルバムは絶対好きになる筈だ。
今の私なら、一番にオススメするのが『In God We Trust, Inc.』で、二番目以降は『Bedtime For Democracy』→『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』→『Frankenchrist』→『Plastic Surgery Disasters』という順番かな。『Plastic Surgery Disasters』はちょっと過渡期的な感じがするからだ。とにかく先ず『In God We Trust, Inc.』を聴いてほしい!繰り返すが本当にカッコイイから!
ところで『Frankenchrist』には悪名高いH.R. Gigerのポスターが収録されている。H.R. Gigerと言えば普通の人(?)なら映画『エイリアン』、音楽ファンならプログレのEmarson, Lake & Palmarの『Brain Salad Surgery』を思い出すだろう。さて、その悪名高いポスターの絵のタイトルは『Penis Landscape』或いは『Work 219: Landscape XX』、ちょっとこの絵は貼れないと思うので、リンクを貼っておく。閲覧注意なので、興味が有る人だけどうぞ。この絵はKissのベーシストGene Simmonsがベースに貼っていたらしいぞ。
エイリアン
Brain Salad Surgery/Emerson, Lake & Palmer
↓【閲覧注意】H.R. Gigerの悪名高いポスターの絵はこちら。
まぁ、Jello Biafraが起用したのも頷けるような気がする。要するに"weird"という事だ。その所為でバンドメンバーは訴えられ、Alternative Tentaclesは破産寸前まで追い込まれたようだ。
しかし、こういう絵はどこからが猥褻でどこからがアートになるんだろうね?
2000年にAlternative TentaclesとJello Biafraは元バンドメンバーから印税の過小支払いで訴えられて裁判で敗訴し、Dead Kennedysのアルバムの権利は他のメンバーに渡ってしまったそうだ。1stアルバム以外のサブスク化が進まないのはそれが原因かな?そうだとしたら悲しいよね…2001年にJello Biafra抜きでDK Kennedysという名前で再結成したようだが、Jello Biafraが居ないDead Kennedysはクリープを入れないコーヒーのようだ…これ、若い人達はわかるかな?。ちなみに私はコーヒーはブラックで飲む派です。