●驚くようなアルバムの再発が続いている。今度は日本のガレージサイケバンドのWhite Heavenの『Out』だ。このアルバムはずっと探していたので本当に嬉しい!

 

 

●再発したのはアメリカのBlack Editionsというレーベル。そこから再発した灰野敬二の『わたしだけ』のMP3アルバムは以前ダウンロードして聴いていた。『わかしだけ』のオリジナルリリースはピナコテカからだが、今回再発したレーベルのBlack Editionsは今後P.S.F.のアルバムを再発していくとの事。これは非常に楽しみだと思ったと同時に、G.I.S.M.の『Detestation』の再発もだが、どうして日本のレーベルからの再発ではなく外国からのレーベルの再発なのだろう、と思った。

 

●White Heavenの『Out』を聴いた時に頭に浮かんだのはBlue CheerとThe Velvet Undergroundだった。そこで久し振りにBlue Cheerの「Summertime Blues」のカバー曲収録で有名な『Vincebus Eruptum』とThe Velvet Undergroundの『White Light White Heat』を聴いてみた。成程、ガレージサイケの凶暴なギターサウンドの影響が確かに有る。この2つのバンドを好きな人はWhite Heavenを聴くべきだろう。

 

Vincebus Eruptum

 

White Light White Heat

 

●P.S.F.でレコードから明大前に在ったモダーン・ミュージックを思い出した。店主の生悦住英夫は2017年に亡くなり店舗はもう無い。モダーン・ミュージックを知ったきっかけは忘れた。2階に上がって行く階段の壁にはライヴ告知のフライヤー等が沢山貼られていた。2階の店内は雑然としており、店の奥側の棚にP.S.F.リリースのCDが置かれていた。そこからは灰野敬二やベーシストの吉沢元治やフォークシンガー友川かずき等のアルバムを買った。レコードではテキサスガレージサイケの13th Froor ElevatorsやThe Red Crayola等のアルバムを買った。P.S.F.が最初にリリースした日本のHigh Riseの1stアルバム『Psychedelic Speed Freaks』を買ったのもモダーン・ミュージックだった。

 

●P.S.F.=Psychedelic Speed Freaks。White Hevenの『Out』を聴きながらPsychedelic Speed Freaksについて考えてみた。White HevenやHigh Rise、灰野敬二に共通しているのはメーターを振り切るかのような凶暴なギターサウンドだ。このギターサウンドがPsychedelic Speed Freaksという言葉をよく表していると思う。

 

●上海に灰野敬二率いる不失者の2ndアルバム(CD2枚組)を持って来ていたので、i-Phoneに入れて散歩する時に久し振りに聴いてみた。このアルバムはライヴ盤で音質は良いとは言えない。しかし、灰野敬二のヴォーカルは『わたしだけ』よりこっちの方が好きだ。響き方が違うのだ。灰野敬二にしか出せないギターサウンドも最高だ。灰野敬二のアルバムはやっぱり不失者の方が好きだな。

 

不失者

 

●不失者を聴きながら散歩していたら、ふと前から走って来る若い女性に目が留まった。なぜ目が留まったかと言うと、その若い女性は涼しいと言うよりはもう肌寒い気温なのに胸元が大きく開いた服を着ていて、胸の谷間が見えていたからだ。つまり胸が大きかったという事だ。その女性の顔は可愛らしく走っているので少し苦しそうな顔をしている。そして大きな胸が揺れている。それを見た瞬間、私の意識は灰野敬二からその女性の胸に移った。私の頭の中で灰野敬二がオッパイに負けた瞬間だった。それが何か面白い感じがしてニヤけそうになってしまって困った。修業が足りないかな?どうでもいいエロオヤジの小噺はこれで終わり。

 

●Ghostの1stアルバム『Ghost』を聴く。冒頭のノイズでこういうバンドかな?と思ったが、内容はアシッドフォークロック。馬頭将器のヴォーカルというより歌い方はドイツのCANのダモ鈴木に似ているような気がする。2ndアルバム『Second Time Around』も聴いてみたいと思った。

 

Ghost

 

●仕事をしていれば苦しい時が有る。圧力に堪り兼ねて逃げてしまいたくなる時が有る。しかし苦しいのは自分だけじゃない。一緒に仕事をしている皆も苦しい。家族のためにも仕事を頑張らなければならない。まだ小さい愛しい息子も居る。一人で仕事をしているのではない。家族も私を支えてくれている。だから頑張る。生きて頑張る。

 

●高級取りの責任者なのに責任を取りたがらない、判断をしない責任者が居る。おかげで部下が困る。こういう人には本当に消えて貰いたい。

 

●永井荷風の『荷風随筆集』の上巻を読み終えた。『濹東綺譚』に書かれているような下町の描写は少なく、江戸時代の情緒に想いを馳せているような描写が多いのだが、私が好きな文章はそのような描写ではなく以下のような文章だ。抜粋して紹介しよう。

---

住みふるした麻布の家の二階には、どうかすると、鐘の声が聞こえてくることがある。鐘の声は遠過ぎもせず、また近すぎもしない。何か物を考えている時でもそのために妨げ乱されるようなことはない。そのまま考に静かに聴いていられる音色である。また何事をも考えず、つかれてぼんやりしている時には、それがためになお更ぼんやり、夢でも見ているような心持になる。西洋の詩にいう揺籃の歌のような、心持のいい柔な響である。

---

この鐘の声はアンビエントミュージックそのものだ。

 

荷風随筆集