新幹線もあっと言う間に東京に到着し、いよいよ本社へ。

会議室に通されると、担当役員と品質管理担当者が登場、上司と土下座するくらいの勢いで謝った。


原因について、当社でも検証し、海外調達部品のロットによる不具合が発生し、生産時期も判明、代替品の手配と今後の対策等を報告。
実際は、30分くらいで終わってしまい、少し待っているように言われ、2人が会議室を出て行った。

少しすると、役員と顔見知りの営業担当部長が現れた。
営業担当部長は以前長年の大阪勤務で、本社の営業統括として栄転した。
”久しぶり。元気でした?”と相変わらず、気さくな感じで話かけてくれた。
”はい。ぼちぼちやってます。お元気でしたか?”と大阪風の返しで。
”今回の件はすでに工場サイド・営業サイドにも原因・改善策等情報共有して、御社のスピードあふれる改善を見て、取引も継続するから安心してください”と役員から。
”ありがとうございます”と上司と二人で頭を深々と下げた。

ふいに営業担当から、
”小耳にはさんだだけど、奥さんが大変なんだって。”と。
”えぇ。若年性認知症を発症しており、介護一歩手前くらいの状態です。”
”それは大変な時に、わざわざ来てもらって、申し訳ないね。今晩はこちらに泊まりでしょ。いろいろ積もる話もあるから、一緒に食事をしよう”と。

一旦ホテルにチャックインして、食事に向かった。

食事が始まったら、一切仕事の話はせずに、昔話に花が咲いたが、ふいに部長が
”実は、義父が認知症になって徘徊で苦労しているんだ。先週も行方不明になりかけて、警察に届けて保護して貰ったんだよ。何かいい方法は無いかな”
”内の妻も徘徊までとは言えないのですが、行方不明になりかけた事があって、その後、普段からGPSを入れられる靴を履くようにしてるんですよ。”
”それはいいね。どんなものか詳しく教えて。”と少し前のめりで。
そこから、発症に気付いた事やヨメノート、会社でのサポートによるK(介護)ミーティングの話等々
部長も真剣に耳を傾けていた。
”Kミーティングか。それは良い事を聞いた。早速、うちでも検討するよ。”

最後は、”君が来てくれて本当に良かった”とお開きになった。