ヨメの状態も比較的安定しており、週に2日のパートとボランティアのエレクトーン教室も徐々に口コミで生徒さんが集まるようになってきていた。

少し、短期的な記憶力が弱ってきているみたいで、介護施設で演奏するレパートリーを増やそうと練習しているが、苦労しているみたいであった。

でも、毎日エレクトーンの音が家で響いていると認知症の事も忘れ、暖かい気分になり、この状態がいつまでも続いて欲しいと願っていた。

私も、家事にも徐々に慣れ、”これが名前の無い家事か”と思いながら、燃えるゴミ・燃えないゴミの分別や洗濯の時の色柄物と薄色の分別等憶えていき、一つ一つのミッションをゲームのようにこなせるようになった。

仕事の面でも、年下の上司と新世代の社員とのパイプ役的な位置にも慣れ、時々早退するくらいでなんとなく仕事のパターンが決まってきた。

日々、平穏に、平々凡々に暮らしていた。