前日、おばあちゃんが言った。
「一生に一度だけ願い事を叶えてくれるお寺さんがあんだって。」
一生に一度だけ。
お父さんとおばあちゃんと、私の願い。
昨日、もうお母さんとの時間が長くないと聞かされた。
「くよくよしててもしょうがないし、明日行こうか!」
お父さんも、明るく言った。
朝9:30
家を出ようか、という時に、電話がなった。
すごく。嫌な予感。
「お母さんの容態が急変したって。今すぐ病院に来てくれってさ」
おばあちゃんを家に残し、お父さんと娘と病院へ向かう。
病室につくと、看護婦さんが言った。
「昨晩急に痛みが出てきたようで、今お薬で抑えてるんですけれど…。今後モルヒネを投与して、痛みをできる限り取るしか…。
あと、会わせてあげたいご家族がいらっしゃれば…できる限り、早く…。」
お母さんは息をするのもしんどそうだった。
大急ぎでお母さんの兄弟に連絡を取る。
「容態が良くなくて。今すぐ来てほしい。」
京都から宮崎へ。
空港へ向かったが、あいにくこの時期は異動や引っ越しで飛行機が全て満席。
空の便は明日まで空きがないと。
でも。今日。今日中に来てほしい。
じゃないと…。
調べた結果、JRを乗り継いで来ると夜10:30には宮崎に着けると。
なんとかそれで、こっちへ向かう…。と。
お母さんの息はどんどん激しく、時々苦しい…と言葉を漏らす。
お母さん。おじさんたちがこっちに向かってるよ!がんばって!!
お父さんの兄弟も次々に到着。
みんなで病室で、お母さんを見守り続ける。
お母さん、こんなに人に見られるの、嫌だろうね。
ひっそりとしてたいって、いつも言ってたもんね。
でも、一声でこれだけすぐにみんなあ詰まってくれたんだよ。
お母さんのために、みんな来てくれたんだよ。
お父さんを病室に残し、みんなで家に一度帰る。
お父さんの兄弟は今日家に泊まることになった。
私は京都の叔父たちとホテルを取ったのでそこに荷物を起きに行った。
とりあえず、先にお風呂入っておこうかな…。
浴室へ向かったその時に、電話がなった。
お父さん「お母さん、今晩がヤマだって。息もだいぶきつくなってきたから、今すぐ戻ってきてほしい。」
P.M.7:00
病院に戻る。
親戚達もまた病院に来ていた。
病室へ入ると、息が荒いお母さんがいた。
手を握る。
お母さんの手握ったの、何年ぶりだろう。
抗がん剤治療していたとは思えないほど、きれいな爪。
抗がん剤は痩せると聞いていたけれど、むくみのせいかいつもと変わらぬお母さんの手。
ずっとずっと握ってた。
もうすぐおじさんたちが来るよ!
もうちょっとだよ!
何度も何度も時計をみたけれど、一向に時間は進まない。
早く。早く。早く。
P.M.10:40
京都のおじさんたちが病院についた。
お母さんを見て、いっぱい泣いた。
どうして。なんでこんな急に。
先週電話で元気やったやんか!
なんでや。
いっぱい泣いた。
私はただただ、間に合ってよかったと思った。
お母さんが会いたがってた京都のおじさんたち。
やっと、会えてよかった。
それからお父さんの兄弟は家に帰った。
京都のおじさんたちと私と娘とお父さん。
個室にちょうど、入れるくらいの人数。
今までの話。
今の状況の話。
お母さんの話。
いろんな話をした。