サディストマゾヒスト
わたしは一般的にいうとサディストだと思う
彼はマゾヒストで、わたしはサディスト
彼を攻めるだけでどうしようもなく濡れるわたしは
一体何をみて、興奮しているのだろうか
気持ちよくして欲しいと思う時もあるし、気持ちよくはなりたいのだけれども
わたしの中のどこか何かが、受身であるわたしというのを嫌う
だから、彼に何かをされている時に
違うことを考えてしまったりする
彼が恥ずかしげにごめんなさいと言う時も
恥ずかしいという時も
わたしの中のどこか何かが過剰反応して
もっともっと、歪ませたくなる
この前、笑いながら言った
『首を絞めたら苦しいかな?』
手を、彼にかける
彼はとても、とても穏やかに微笑みながら
『苦しくはないよ、ただ、咳が出ると思う』
そう言って、首の絞める手に力を入れるわたしの手を制さないで
そのまま眼を閉じた
なぜかそこに、わたしは深い愛を感じて
ああ、この瞬間彼を生かすも殺すもわたし次第なんだ
本気で抵抗すればきっとわたしなんて、力では敵わないのに
全て委ねられているんだ
そう、考えるだけで、無償に嬉しかった
サディストは精神的な快楽なのかもしれない
わたしが快楽を感じる時は
精神的なものが元々多いのかもしれないけれども
生かすも殺すもわたし次第という
そんな立場に立つことに
興奮するのかもしれない
わたしの中の歪んだ支配欲を
悦んで受け入れる彼を、とても愛しいと思う
ええと
わたしは美味しいところだけが欲しい愛人ですので
奥様と大喧嘩とか、法的争いとか、もう、勘弁です
なので、わたしは何かがあればすぐに身を引きます
だって別に好きじゃないもの
相手はいくらでもいるわ、わたしも、愛人相手も
ただ、今、それが良いだけ、でも、好きっていうから
わたしが好きなのは彼だけで、わたしが、キスだけで、どうしようもなく
感じてしまうのは、彼だけ
わたしが本気で喘ぐのも、彼だけで、わたしが触って欲しいのも
気持ちよくして欲しいのも、彼だけ
でも、彼とそうしても、色々と考えてしまうことが多くて
快感に没頭できなくて、仕方ないことなのかな
これが罪なのかな、罰なのかな
自分の体を賞品にしている代償は
明らかにわたしの目に、見える形で、増えていく気がする
抱き合って、それで、眠りたい