浴室 -43ページ目

シーツを掴んだ

尻を高く上げて、腰を落とし、枕に顔を埋める

粘膜が擦れる音、肉と肉がぶつかる音

不規則なベッドの軋み、揺れる、わたしの体


途端、なんだか悲しくなって、作られた喘ぎ声の合間に鳴咽が零れそうになった


―こんな奴の為に、泣くものか



歯を食いしばって、シーツを強く掴んだ

わたしが吐き出した唾液のせいで不自然に冷たいシーツ

掴んで、爪をたてて、シーツを掻いた

醜く歪む布がなんだか、切なかった

幸せ

下らないことで悩めるわたしは幸せだった

目の前に出された餌が多少まずくても、今なら食らい付ける

ううん、食らい付く

戻ってこいと言われたら

簡単に、戻ってしまう気がする

尻尾を振って

抱えきれない寂しさと、痛みを背負って

貴方の元へ