こんにちは。横山社会保険労務士事務所の横山 勝です。

 

「就業規則」

 

この言葉を聞いただけで、なんだか難解で、社内の奥深くに眠る分厚い冊子やPDFを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

「会社にあることは知っているけど、ほとんど読んだことがない」

「トラブルが起きて、慌てて読み始めた」

—そんな声は、実は多くの職場で聞かれます。

就業規則は、単に会社が一方的に決めた「お堅い文書」ではありません。

 

これは、会社で働く全員に適用される「職場の共通ルール」であり、透明性をもって労使間の信頼を築くための重要な文書です。

 

しかし、その重要なルールが読まれず、理解されないとしたら、どうなるでしょうか?

 

 


 

 

 「読まれない規則」が生む深刻なリスク


就業規則は、労働時間、賃金、ハラスメント対策、懲戒ルールなど、会社運営の根幹に関わる非常に重要な事項を定めています。

これが「読みづらい」「分かりにくい」というだけで、以下のような深刻なリスクを生み出します。

 

 

 

1. トラブル発生時の「認識のズレ」

「〇〇は禁止だと知らなかった」

「休暇の申請方法が複雑でわからなかった」

といった社員側の誤解が生じます。

 

小さな認識のズレが、やがて大きな労使トラブルに発展するケースも少なくありません。

 

 

2. 採用や定着へのマイナス影響

新しい社員が入社した際、難解な就業規則を見せられて、

「この会社は堅苦しそう」

「ルールが多そうで窮屈だ」

といったネガティブな印象を与えてしまうことがあります。

 

透明性が低いと、特に若い世代は不安を感じやすいものです。

 

 

3. 法改正への対応の遅れ

法改正があっても、難解な文書を一から読み解くのは大変です。

 

社員の意識が低いと、せっかく改訂しても「改訂後の新しいルール」が周知されず、古いルールでの運用が続き、コンプライアンス上のリスクを抱えることになります。

 

規則は、社員に「伝わって」「理解されて」初めて、その効力を発揮するのです。

 

 


 

 

 【実践】就業規則を「伝わる文書」に変える3つのヒント

 

では、専門用語だらけの就業規則を、社員の皆さんにとって「読みたくなる」「すぐに役立つ」文書に変えるには、どうすればいいでしょうか?

 

 

 

1. 構成とデザインを「ユーザーフレンドリー」に

現在の就業規則は、条文順に淡々と並んでいませんか?

 

利用者が知りたい情報にすぐアクセスできる構成に変えましょう。



右矢印目次の工夫: 労働時間、休暇、給与、育児・介護など、社員が関心を持つテーマを独立した章立てにして目次を分かりやすくする。



右矢印色とレイアウト: 重要な箇所は太字やマーカーで強調し、専門用語には脚注や補足を加える。法律文書のような均等割り付けを避け、適度に空白を取ることで読み疲れを防ぎます。



右矢印デジタル化: PDFや冊子だけでなく、社内イントラネットなどに公開し、キーワード検索ができるようにするだけでも利便性は格段に上がります。

 

 

 

2. 「なぜそうなのか?」を伝える表現を心がける

規則を「〜しなければならない」という義務的な表現だけで終わらせるのはやめましょう。

 

なぜそのルールが必要なのか、目的や背景を一言添えるだけで、社員の納得感は深まります。

例(変更前): 「個人情報保護に関する規定を厳守すること。」

例(変更後): 「お客様の信頼を守るため、業務で知り得た個人情報は厳重に管理し、目的外の利用を禁止します。」(理由:会社の信頼を守るため)

 

 

 

3. 複雑な部分は「フローチャート」で可視化する

特に複雑で間違いやすいルール(例:休職・復職の手続き、評価制度の流れ、ハラスメントの相談窓口)は、文章よりも図やフローチャートで表現しましょう。

フローチャートの活用: 「まず誰に相談する?→次に必要な書類は?→最終決定者は?」といった流れを矢印でつなぐことで、「今、自分はどのステップにいるのか」が一目で分かります。

 

 


 

 

 読みやすくした先にある「相乗効果」

 

就業規則を読みやすくすることは、「労務リスクの軽減」という守りの面だけでなく、「組織力向上」という攻めの面でもメリットがあります。

 

「ルールが明確で分かりやすい会社」は、社員にとって「公平で信頼できる会社」に映ります。

 

安心して働ける環境は、社員のエンゲージメント(愛着・貢献意欲)を高め、結果として生産性の向上にも繋がるのです。

 

就業規則の改訂は、ただの「作業」ではなく、「会社の未来を築くための投資」だと考えてみませんか?

 

あなたの会社の就業規則は、社員の皆さんに「伝わる」文書になっていますか?

 

ぜひ一度、手に取ってチェックしてみてください。

 

 


 

 

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