仕事の会話は“業務連絡”だけ?――そんな職場にこそ、あえての“雑談”が効いてくるかもしれません。
今日は、雑談がもたらすちょっと意外な効果についてお話しします。
その沈黙、いつから当たり前になったんでしょう?
「おはようございます」
……そのあとは沈黙。
パソコンに向かって黙々と仕事を始める。
そんな職場の朝、あなたの会社でも見かけませんか?
もちろん、集中することは大事です。
でも、空気がピリッとしすぎていては、声をかけづらくなり、ちょっとした相談もしづらくなってしまいます。
実は、そんな職場の雰囲気を和らげてくれるのが「ちょっとした雑談」。
「ちょっと暑くなってきましたね」や「このあたり、ランチ何が美味しいですか?」といった気軽な会話が、思っている以上に大きな力を持っています。
雑談が“ただのおしゃべり”ではない理由
雑談というと、「時間のムダじゃない?」と思われることもありますが、決してそうではありません。
実は、職場にとって大切な役割を果たしているんです。
たとえば――
心理的な安心感を生む
日常的に気軽に話せる関係性があると、ミスや困りごとも打ち明けやすくなります。
情報が自然と共有される
雑談の中で「うちの部署でも似たようなことがあって…」と、業務のヒントが見つかることも。
人となりを知るきっかけになる
好きな食べ物や趣味など、ちょっとした話題が相手への理解を深めます。
チームの連携が良くなる
日ごろから話している人とは、協力もしやすくなるものです。
つまり雑談は、チームをじんわりつなぐ『見えないインフラ』のようなもの。
なくても回るけど、あると安心して働ける――そんな存在です。
雑談で変わった職場の空気
ある中小企業では、新人が入社してすぐに心を閉ざしてしまい、うまく職場になじめませんでした。
上司が面談をしても、「大丈夫です」としか言わず、表情も硬いまま。
そこでベテラン社員が、毎朝「今朝寒かったね」「昨日のドラマ見た?」と声をかけるようにしたそうです。
たったそれだけのことですが、2週間もすると、自然と笑顔が見られるようになり、
徐々に業務の話もしやすくなったとのこと。
この話、特別な話ではありません。
ちょっとした心がけが、人の気持ちをほどく力を持っているんですね。
雑談にも“ちょうどいい距離感”がある
とはいえ、雑談なら何でもOKというわけではありません。
気持ちよく会話をするために、少しだけ意識したいポイントがあります。
内輪ネタに偏らないように
一部の人だけで盛り上がると、ほかの人が入りづらくなってしまいます。
プライベートへの踏み込みは慎重に
家庭やプライバシーに関わる話題は、相手との関係性に応じて控えめに。
愚痴や不満がメインにならないように
ネガティブな話ばかりでは、かえって職場の雰囲気が悪くなってしまいます。
雑談は“気配りのある会話”。
相手の表情や反応を見ながら、ほどよい距離感でやり取りしたいですね。
雑談は“文化”として育てるもの
「では朝の雑談を5分間実施しましょう」とルール化するのは、ちょっと違います。
大事なのは、“自然に話せる空気”があること。
たとえば、管理職や先輩がちょっとした声かけを意識するだけで、職場の雰囲気はずいぶん変わってきます。
笑顔でのあいさつ、雑談がしやすいレイアウト、ちょっとした共通の話題など――
そうした小さな工夫の積み重ねが、心地よい職場づくりにつながっていきます。
雑談は決して「なくてもいいもの」ではありません。
むしろ、職場の人間関係をつなぐ大切な要素として、見直してみる価値があるのではないでしょうか。
「おはようございます」のその先に、もう一言添えるだけで、職場が少しやさしくなるかもしれません。
今日から、ちょっとだけ声をかけてみませんか?