これまでの人生で4度、体外離脱(幽体離脱)をしたことがある。
今回はそのことを書いてみよう。
まずは、当時の日記から。
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タイトル/離脱体験
1度目:
普通の金縛りの状態であった。
“金縛りの状態”というのは、意識はあるけれど、
体は動かせない、声も出せない状況だ。
そのような状態で “起きよう” と思い、上体を起こしたとき、
上半身だけではあるが、
何か自分の肉体とは「別のもの」が抜け出したような感じがした。
ーー“おっと、まずい! 戻らなきゃ”
直感でそう思った。
金縛りの最中に起きられたことへの驚きと、その奇妙な浮遊感から、
すぐに、“戻ろう” と意図した。
意図したら元の肉体に難なく戻ることができた。
「別のもの」と肉体が結合し、元の状態に戻るときに “カチッ” という音がした。
でもこの時はまだ、その体験が、特に不思議なことだとは思わなかった。
2度目:
前回から2、3日後。
前回と同じように、上半身だけ離脱した。
ほんの短い時間であったが、寝ている自分を見ることができた。
通常の肉眼で見るのと違って、分厚いレンズ越しに自分を見るような感覚。
また、通常の視界は、せいぜい180度くらいだが、
このときの視界は360度(注)だった。
つまり、上半身が直立に起き上がった状態で、
(後頭部側の)寝ている自分を見ることができた。
このときに初めて、この体験は普通のものとは違う何か特別な出来事だとわかった。
(注)
※右目が肉体の視界(通常時:普通に見えている状態=180度)、左目が「別のもの」の視界(360度)であった。
右目で見ようと意識すると天井などが見えるのに対し、左目で見ようと意識すると「別のもの」からの視点になり自分の寝ている姿を見ることができた。これが、どういう理由なのか定かではない。
3度目:
2回目から5日後くらいに、3回目が来たが、この時は完全なる“離脱”であった。
肉体が別のものから完全に抜け出し、天井や屋根を越え、上空へと浮き上がった。
そして、まぶしく光り輝く中を漂っていて、宙に浮いているような感覚であった。
小鳥の囀りが聞こえた。
ーー「天国」というものが存在するなら、このようなところだろうか
夢見心地で、とても快適な気分だったが、
もしかして “自分は死んだのではないか" という疑念が、脳裏を掠めた。
ーー戻らなきゃ
と思った次の瞬間に、
「別のもの」は部屋にある肉体に吸い込まれ、そして目が覚めた。
4度目:
4度目の体験はそれまでの体験より、かなり鮮明なものだった。
眠りに就いて1時間ほど経った頃、私の部屋をノックする音で目が覚めた。
ーー隣人が昼食に誘いにでも来たのだろうか?
私は起き上がってドアに向かったが、
起き上がったのは肉体ではなく、「別のもの」だった。
このとき、私は金縛りに遭っていたため、
肉体は寝ている状態で床に残っていた。
体は完全に離脱し、起き上がったはいいが、
宙に浮いているような感覚でフワフワしていた。
ドアまで歩こうとしたが、体の自由が利かない。
歩こうとするが、地に足が着いておらず、
時々片足が泥沼にハマったときのように畳の下を突き抜けたり、
体を海老反りにした時に頭だけが、
下の階(私の部屋は2階)との境目を超えて、1階に突き抜けてしまったりもした。
四苦八苦しているうちに、隣人は足音を残して去っていった。
私は、しばらく部屋に一人で、もがいていた。
この時は戻ろうとしてもなかなか戻れなかった。
肉体を抜けた状態で歩くことに必死になっていたため、
「戻ろう」という明確な意識が足りなかったせいではないかと後になって思った。
「戻る」と強く思ったとき、肉体に戻り、そのまま寝てしまった。
(1997年12月31日)
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いずれも今から20年以上前、渋谷区のアパートで起きた出来事であった。
その後、引っ越しをし、定職に就いた。
それ以降、体外離脱の体験はない。
次回は、「なぜ体外離脱が起きたのか?」
その真相を探っていきたい。
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判読不能な箇所や書き間違いについては、意味を損ねない範囲で加筆訂正した。