ヘミシンクで変性意識状態に入り、別次元へ飛んだ。

 

 

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長いトンネルを車で走っている。

 

トンネルを抜けた先は、緩やかな左カーブ。

 

右側には崖があり、前方から東方にかけて綺麗な海が見える。

 

絶好のロケーション。

 

 

トンネルを抜けたところで、何かが光った。

 

次の瞬間、車は制御を失い、

 

右側のガードレールを突き破り、崖から転げ落ちた。

 

 

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私は、崖から落下する直前でドアを開けて脱出した。

 

カラダ全体に打撲と擦り傷があったが、間一髪のところで命を取り留めた。

 

 

ーー助かった。

 

 

ほっと胸を撫で下ろし、まずは、安全な場所に避難し、救助を呼ぼうとした。

 

ところが、スマホはドリンクホルダーに置いていたため、車と一緒に崖から落ちてしまった。

 

 

ーー次に来る車に事情を説明して、何らかの助けをお願いしよう。

 

衣服は破れ血が出ているが、事情を話せば、理解してもらえるだろう。

 

 

10分くらい待っただろうか、1台の車が向かってきた。

 

ヒッチハイクの要領で車に合図した。

 

だが、車は止まってはくれなかった。

 

 

ーーまあ、仕方ない。次を待とう。じきに来るだろう。

 

しかし、一向に車が止まってくれる気配がない。

 

 

ーー1台くらい止まってくれてもいいだろうに……。

 

 

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「もしもし、そこのあなた」

 

頭上から声が聞こえた。

 

「誰ですか?」

 

 

「あなたはそこで何をしているのですか?」

 

「車を待っているのですよ」

 

「あなたは、どのくらいそこにいるのか、わかっていますか?」

 

「せいぜい、20分くらいじゃないですかね?」

 

 

「とんでもない、20年です」

 

「に、20年!?」

 

 

私は、声の存在に導かれて、崖の下に連れて行かされた。

 

そこには、魂が抜けた私の肉体があった。

 

私は、死んでいたのだ。

 

 

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魂がその場所にないのであれば、そこに居続ける必要はない。

 

その事実に気づき、さっさと、次の世界へ動くべきなのである。

 

 

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※これはヘミシンクでの体験を基にした物語である。