宇宙から見たら地球は青色をしているが、
その星は、主にパステルイエローとパステルピンクで出来ている。
私はその星を「シャボン星」と名付けた。
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シャボン星に降り立った。
街並みは、薄いピンクや薄いイエローを基調にしたパステルカラーで、とても目にやさしい。
そして地球のようにクルマやバイクののような音もなく、静かで耳にもやさしい。
一言で言えば、癒しの星である。
居るだけで心地よく、ずっと居続けたい気持ちになる。
この星には、角(かど)がない。
すべて曲線で出来ている。
厳密には角はあるのかもしれないが、地下に埋まっていたりして表面上には見えない。
通常、直角のところはどれもアーム形状になっている。
街の風景がどこかやわらかく感じるのはそのためである。
空にはところどころに、丸いシャボン玉のようなものがゆっくり動いている。
どうやら地球でいうところのクルマのような乗り物のようだ。
家は、楕円形をしていて、楕円の中心部から地面に向かって尖った先が地面に突き刺さり安定を保っている。
“ゴルフのピンの上部に卵を横向きにくっつけた形状”といえば、イメージしやすいだろうか。
遊園地のメリーゴーランドをスローモーションで見せられているような、
メルヘンチックな星である。
私はある一家の家に招待された。
部屋の中は全てプラスチックのような素材で出来ている。
プラスチックといっても硬くなく、感触はゴムのようにやわらかい。
汚れが付かない素材のようだ。
汚れが付かないから掃除は必要ないのかと聞いたら、汚れは皆無ではないらしく、
定期的に掃除は必要だが、ボタンひとつで一瞬でキレイにできる仕組みのようだ。
ボタンを押せば「シュ」という音とともにジョット噴射のようなものが吹き、
ゴミや汚れが一瞬にして消え去り、クリーンになる。
とても快適である。
招待された家は、父・母・子(息子)の三人家族だが、
家の中であるにもかかわらず、三人とも専用の乗り物に乗っている。
私もその乗り物に乗せられた。
一人乗りのクルマのようなその乗り物は常に宙に浮いていて、
ハンドルのような操縦する仕組みはなく、自分の意思で自由自在に操縦できる。
右に行きたいと思えば右に動くし、左に行きたいと思えば左に動く。
息子は常に、貧乏ゆすりをするかのように、その乗り物を前後にせわしなく動かして遊んでいる。
何の不自由もない暮らしに見えたので、私は息子にこのような質問をした。
「ストレスや悩みはあるの?」
息子からは意外な返事が返ってきた。
「悩みがないのがストレスだよ〜」
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この星では悩みがないのが一番のストレスであるようだ。
思い通りにいかないことが多い、ストレス社会の地球がベストではないだろうが、
“ほどほどにストレスがある”状況が、一番幸せなのかもしれない。
ストレスのないシャボン星の体験から、
ストレスをいかに楽しみに変えていくことが大切かを、学んだような気がした。
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※これはヘミシンクでの体験を基にした物語である。