万博にかかる費用について国、府、市で会場建設費を含めどれくらいのボリューム感になるのか等について、金曜日にある程度の資料が出そろったため、現時点の議論をそれら資料とともに記載します。

 

まずは以下、引用資料についてリンク先

 

大阪府大阪市 万博推進本部資料

 

国 推進本部 資料

 

府市 推進本部 資料

 

国土交通省 インフラ整備事業

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001420670.pdf

 

アジア太平洋研究所 経済波及効果

 

 

 

 

(1)会場建設費の増高について   

 

会場建設費の増高について、この間の建設資材の物価上昇や人件費の高騰など、この数年の上昇率は非常に高く、従前の想定を大きく超えるものとなっています。

 

当然これは万博建設に限らず、公共工事なども事業費が上振れしており、多くの自治体も発注工事などについて上振れの課題に直面しているところかと思います。

 

 

 

物価上昇と労務単価の上昇を踏まえて事業費のめどとして527億円上振れするものです。

 

 

 

 

あわせてこの間の工事の効率化などにより約148億円の事業費については圧縮しています。

 

当然ですが今後も事業全体を通してさらなる効率化を図るよう努めていきます。

 

会場建設費は最大で2350億円(国・府市・経済界 1/3ずつ負担)となっており、当たり前ですが、今後、安全性や万博の趣旨を損なわないようにしつつも事業全体をとおして効率化(経費節減)を目指します

 

また災害やさらなる物価上昇などを想定し130億円の予備費を計上していますが、あくまで予備費ゆえ執行しなければ使わないお金です。こちらも当然ですが、使わなければ130億円は2350億円から減になります。必ず使い切る、というものではありません。

 

 

(2)会場建設費を含む事業費について(令和5年度現在)

 

次に万博関連の事業費について全体イメージをご説明します。

国・府市の事業費について現時点でのものを取りまとめた形になっています。

 

まず下記が国の試算。

会場建設費(最大)2350億円の3分の一分にあたる783億円に加えて日本館の事業費などがこれに加わります。

 

いずれも令和5年度の当初予算・補正予算で計上したもの、というくくりであり、現時点版になります。

足し合わせると1620億円(~令和5年度予算計上分)になり、報道で出ている数字はこれになります。

 

 

(資料引用)国 推進本部 資料

 

 

そして同様の定義で大阪府・市により算出されたものが下記。

 

 

こちらも会場建設費2350億円の3分の1負担にあたる783億円に加えて大阪ヘルスケアパビリオンや周辺環境整備にかかる事業費などが加算され、全体イメージとして令和5年度当初予算・補正予算計上ベースで府と市合わせて1112億円となります。

 

(資料引用)府市 推進本部 資料

 

 

さて府市の万博推進本部会議の当日の会議において、令和5年度予算計上分以外にも、まだ議会の議決は経ていないものの、今後計上される見込みが高いものについても概算でこれに加えるべし、という議論になりました。

 

国の算出範囲が令和5年度当初・補正予算分であり、府市としてもこれに合わせた金額は1112億円としているところではありますが、上記の議論の経緯から、府市における今後の事業見通し分を加えたものが、下記の表になります。

 

 

 

令和5年度当初予算・補正予算での計上分に加えて、現在ある程度発生の蓋然性が高い令和6年度の当初予算(債務負担行為含む)の金額265億円を加えたものを追加で公表したところです。

 

 

(資料引用)府市 推進本部 資料

 

以上がここまでの万博にかかる事業費の議論の経過になります。


引き続き工事進捗を注意深く確認するとともに、事業全体を通じて効率化を進めて参ります。

 

 

(参考)万博経費9.7兆円ってなに?


さて、ときどき一部メディアや政治家がいう万博経費9.7兆円とはなにか。


それが下記の(1)になります。

 

国の万博関連経費におけるその他費用で記載されたものです。

 

国との要望活動などで万博との関連で議論されることはあるものの、表中記載「大阪・関西万博のための新規または追加的なものではない」のとおり、万博の開催がなかったとしても行われる予定の事業になります。

 

この数値は、万博開催の有無にかかわらず必要となる事業費なので、個人的にはあくまで「その他・参考値」です。

 

 

ではどんな事業があるのか、具体の事業名も記載がありますのでご参考に。

 

 

国 推進本部 資料

 

ちなみにすでにネット上でも多くの方にご指摘頂いていますが、四国などの道路事業も含まれます。

 

参考

国土交通省 インフラ整備事業

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001420670.pdf

 

 

 

 

なによりそれぞれの地元の方がご存じかと思いますが、万博開催のずっと以前から要望活動など行われてきている路線であり、万博の開催の有無にかかわらず実施の検討が進められる路線になります。

 

ほななんで万博関連経費に計上すんねん的な疑問も湧きますが、あとで事業費の隠蔽だ等の批判がおきないように極限まで直接的牽連性のないものもできるだけ幅広く含んで記載したのかなと邪推いたします。

 

 

(3)万博に一人〇〇万円ってどういうこと

 (以下、議会で質問のあった会場建設費2350億円について特定の式で割り戻した数値19000円を例に)


事業費を人口で割り戻した数値ですが、別に実際に19000円支払うわけでも、本来受け取る19000円が受け取れなくなるわけでもありません。

 

万博負担一人19000円、4人家族で76000円、とかいわれると「え、それだけ支払うの?」という誤解を招くことに繋がります。

 

一部メディアや一部政治家はこのミスリードにつながることを知ってか知らずか(知っててやってるなら相当に悪質ですが)こういう報じ方をされることが残念です。

 

単純にこの理屈でいくと年間100兆円の国家予算の大阪市民負担は一人100万円となり、年間3兆8千億円の大阪市全会計予算の市民一人あたり負担額は120万円ですので、一人220万円を年間負担しています。うちは5人家族なので、1100万円年間負担していることになります。払えねぇ。府の歳出分も加算されるからもっとか。地方交付税とか公債とかぶっとばした計算ですが、そもそもがこの議論は乱暴な議論なのでご容赦ください。

 

歳入の構成は市民税以外にも法人税や地方債、公債などで構成されており、事業歳出を人口で割り戻したところで一人当たり支払う金額ではなく、また当該事業が実施されなかった場合でも事業を構成する関連事業(街づくり・インフラ・研究開発費)が行われることが想定されるため19000円の機会損失ともなりえません。考え方によっては歳出の財源が基金になった場合後年の税収でカバーされると考えると負担なく実施できます、ということさえ可能になります。いずれにせよ議論として非常に不安定で根拠に欠くものです。

 

重要な議論は、事業費が全体として適切に計上されたのか、執行されるのかをチェックすることであり、一人当たり金額に割り戻して議論することは、経費の適正な執行を議論する上で本質的ものではありません。

 

繰り返しになりますが「万博費用一人当たり〇〇万円、4人家族で〇〇万円」という金額は事業費を人口に割り戻しただけの安直な計算であり、実際に支払うものでもなければ直接受給する当該金額のサービスが削減されるという性格のものでもありません

 

 

 

(4)万博の経済効果を算出すんのか

 

費用面に加えて経済波及効果がどの程度あるのか、今後専門家等にご意見を伺い算出する予定です。万博開催にかかる負の経済効果となり得る交通渋滞などにかんして渋滞緩和施策も事業費として計上していますし、正の経済波及効果を見える形で並べて議論することは万博の効果を考えるうえで重要な議論かと思います。

 

 

さて直近では民間のシンクタンクも経済効果を算出くださってます。

 

経済効果を生産誘発額でみれば、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億円、拡張万博ケース2では2兆8,818億円と試算 引用↓

 

 

 

こういった議論も踏まえて、改めて経済効果の議論は年明けに行う予定です。楽しみです。

 

上記の波及効果の算出にあたっても、拡張万博としてより大阪関西に滞在いただいた場合さらに効果は伸びますし、日本中で連携して消費効果を広めることで波及効果も広がることになります。

 

すなわち、万博の開催まで、観光事業振興や他府県との連携をより密にすることで万博の効果をさらに強めることが可能となると考えられます。

 

経済波及効果の議論に合わせて、今後さらに、より効果を広げていくためのヒントも探っていきたいと思います。

 

 

(5)入場者見込み2820万人は多すぎか

 

こちらもすでSNS上でも多くの方が過去の万博と比較頂いてますが、決して頓珍漢な数字ではありません。

ちなみに大阪で1990年に行われた国際花と緑の博覧会では2312万人の方がお越し頂きました。2005年に愛知でおこなわれた愛・地球博は2204万人。

 

ちなみに10年ほど前(2010年頃)までは、大阪にお越し頂いていたインバウンド(来阪外国人観光客)はだいたい年間200万人程度。


いまでは(コロナ前で)年間1200万人にまで急増しています。コロナが落ち着きコロナ以前の水準に戻りつつありますので、過去の大阪の状況と比しても観光需要としてまだまだ可能性があるところです。

 

いずれにせよ、一人でも多くの方に起こし頂くことができるよう発信をしていきます。

 

 

 

(6)ほんで万博でなにすんねん

 

まずは会場のフライスルー動画。ぜひご覧ください。

 

 

こういった会場のなかで様々なテーマからパビリオン、ショーやイベントなどが開催されます。

自動運転バスや空飛ぶクルマ、ゼロカーボンの取り組みや再生医療など、世界中の最先端の技術が夢洲に集います。

 

 

159の国々が、それぞれの国の予算でパビリオンなどを出展し、それぞれの国の予算で人を派遣し、それぞれの国の最先端の技術や文化を展示してくれます。

 

各国のレストランなども予定されており、日本にいながら各国の料理を食べることもできます。

各国のPVもできてきていますね。 こちらはイタリア館。

 

 

こちらはオランダ館。

 

ほんでもってベルギー館

 

オーストリア館、音楽のイメージがデザインイメージにそのまま活きてますね

 

ドイツ館。コンセプトもしっかりしてます。

 

最後にサウジアラビア館。

レセプションにも伺いましたが、日本に初来日の方々も、日本文化と経済に非常に高い関心を寄せていただきました。

そういった意味で万博はすでに始まっています、投資のチャンスを呼び込む工夫が必要。

 

 

 

世界が直面する課題を共有し、ひとつになり、最先端技術でつながり、文化でつながり、命を紡いでいく。

また多くのビジネスチャンスを日本の未来につなげていく。

 

 

今後も引き続き、万博のメッセージ、発信してまいります。