長期休業者の代替措置に関する本務職員の活用について
そもそもの問題意識は「ごめんなさい」といいながら産休・育休をとるような社会では子供を産もうなんて思いにくい、という点にあります。 「出産育児にかかる休暇を取りやすくかつ復帰しやすい社会づくり」が重要。
ではなんで謝りながら休みとらないといけないかというと、
いわずもがな、要は産育休取得後に「残されたメンバー(以下「課員」)」に負担が寄ることにひとつ原因があると考えます。
↓出産を迎えると職場に報告して産休・育休の段取りにはいる
↓長期休暇前の業務の引継ぎを行う
↓別に誰に言われたわけでもないけど、なんか白い目で見られているように感じる
↓出産直前までがっつり働く
↓ごめんなさいといいつつ引継ぎして休暇に入る
↓産む・育てる
↓二人目を考えだす
↓ってか二人目て、また休むのも職場に悪いしそもそも言いにくいわ
「こりゃ二人目はまだ先かな。」
という社会の流れでは出産育児のハードルがあがります。
上記の流れで課題となるのは「課員に業務が寄ることで超過勤務等が発生ししんどくなること」に原因の一端があります。
誰だって「おめでとう」と言って送り出してあげたいところを事務の負担が過剰に増えてしまっては複雑な心境になってしまうのも無理はありません。もしそんなこと誰も考えてなかったとしても長期休業取得者としてはやはり気を使ってしまいます。
この問題の解決策として2パターンあると思います。
-
引継ぎ業務に応じて課員の報酬を上げる
-
代替スタッフを配置する
-
は課員の報酬をあげるパターン。あくまでイメージですが産育休に入る人が20万円/月の報酬をもらっていたとして、4名の課員で業務を引き継ぐ場合、一人あたり5万円/月の報酬を上げる。
-
は産育休に入る人の業務をまるっと引き継ぐ代替要員を配置する
の2つのいずれかのパターンが考えられます。
では市役所で何ができるのか。
-
「課員の報酬増」について、職員の報酬は法律や条例に定められており報酬増を行うにはハードルがあります。
-
「代替要員」については適切な時期に適切に配置することへの課題はありますが、人事の運用で流動的に対応は可能。
ということで、大阪市では本年度より新たに長期休業者への代替措置として、本務職員を充てる制度の運用を始めました。
長期休暇取得の人数をあらかじめ推計し事前に採用枠を増。
出産育児を迎え長期休業を取得する職員に対して代替の正規職員が充てられることになり長期休業取得者も比較的安心して代替要員に仕事を任せ出産育児を迎えられることとなります。
一見、一方的な人件費増と思われるかもしれませんが、現状、長期休業取得による業務負担増は課員の超過勤務手当や臨時採用の非常勤職員人件費などにより既にコストとして発生しています。
であれば、育児休業者には報酬は支払われていませんし、かつ事前に想定される長期休業者数を正規職員として含んでおくことで上記の超過勤務手当や臨時職員人件費と一定相殺され、かつ長期的に人事配置も適切に行えることとなります。
併せて、今後この手法の適用前後で長期休業に対してどのような状況になるのか、とりやすくなったのか何も変わらないのか、よく検証しつつ人事行政を行う必要があります。
もしも長期休業者が想定より少ない場合や、効果がない場合などは後年の採用数の調整により採用減するなど対応も想定されます。 今後検証を続けながら採用数の調整など制度の精錬をはかります。
そして、こういった取り組みが成功すれば、他の団体に対しても成果として発信し、目指すは社会全体で産育休を取得しやすいような環境づくりが重要と考えます。 社会に対してこの「問題提起の役割」も担っていきたいと考えます。
今後も推移を見守りつつ、社会全体として長期休業に対する措置を適切に行える環境づくりを目指すべき。
ごめんなさいと言いながら育休、産休を取らなければならない社会からの脱却を目指します。