本日「大阪府におけるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の賛否を問う住民投票条例制定の件」が議決され反対多数で否決となりました。

 

 大阪においてはIRの実現を目指しこれまで議会でも議論を進めてまいりました。昨年9月に事業者が決まって以降、種々の手続きを経て、本年3月、『大阪・夢洲地区特定複合観光施設設置 運営事業に関する条例』を府議会において、公明・自民・維新などの賛成多数で可決し、区域整備計画に係る認定申請が国へ行われています。

 

 

 今回の条例はカジノを含むIR施設についてその是非を問うため住民投票の実現を目指し署名活動が行われ、所定の署名数に達したため議会へと付託された次第です。

 

 本事案について、署名数が19万筆を超えたことについて、まず非常に重く受け止めます。

 

 

なぜ都構想の住民投票は良くて今回は否決なのか

 

 まず「都構想に関する住民投票」について、その根拠となる大都市法は、地方の発意に基づき、大都市の自治の形・あり方という自治体の根幹を変えるものであり、住民の直接的な判断、すなわち住民投票が法定され、その判断に従い特別区設置の可否が決定されるものです。

 

 国の根幹をなす最高法規である憲法の改正も、国民投票によって決めるよう求めてられており、どちらも住民又は国民が法的にも最終決定権を有するという意味で「究極の民主主義」と言えます。

 

 さて 一方で「IR整備法」について。

 IR整備法については、あくまで、IR誘致という事業の推進について、必要な手続を規定したものであり、地方自治の原則に則って、住民の代表である議会の議決を得て決定することとされています。

 

 先にも述べた通り、本件については本年3月に自民・公明・維新の賛成により手続き上、既に議決されている案件です。

 

 民主主義の元で定められた法に従い手続を進めることが極めて重要なものであると認識しています。

 

なお大阪維新の会としては過去から観光戦略・成長戦略の柱の一つとしてカジノを含む総合型リゾート施設の設置については重ねて必要性を訴えてまいりました。

 

 

大阪維新の会H19 統一地方選挙 マニフェスト

 

 

重ねてになりますが、今回集まった署名については極めて重く受け止めています。

その上で、政治家が「選挙で掲げた政策の実現に向けて邁進すること」も極めて重要な「民意の尊重」であり民主主義であると考えます。

 

以上のことから今回の条例については都構想の住民投票とはその意味合いを異にするものであり、加えてその法定の趣旨から鑑みても我々としては反対するものです

 

 

夢洲整備に790億円の負担は妥当か

 

土地課題への対応については、大阪IRが国際観光拠点の核となる大規模集客施設であることから、IR事業用地としての適性確保が必須であり、土地に起因する所有者としての責任に加えて、大阪臨海部のまちづくりなどの政策的な観点も踏まえ、土地所有者として大阪市が負担するものです。

 

なお、その「負担」については、土地売却・賃料収入など事業経営に伴う収入から賄われる特別会計である港営事業会計で負担することとなっており、府民・市民の税で負担するものではありません。

 

また、当然のことながら民設民営のIR事業そのものに対して公金を投じるものでもありません。

 

なお、これは土地地盤改良にかかる歳出だけではなく、大阪府市に対する歳入効果等と並べて、トータルで議論すべきものではないかと考えます。  

 

区域整備計画では、毎年約1,060億円の納付金・入場料収入を見込んでおり、その他にも、土地の賃料が35年間で約880億円、インフラ整備の負担金200億円が大阪市の収入となります。  

 

これらを合わせると、土地所有者として大阪市が支出した額を大きく上回る収入が見込まれます。

 

大阪府市の住民サービスの拡充のみならず、さらなる大阪の成長戦略に寄与するものとして大阪全体として、大きな経済波及効果や雇用創出効果が見込まれるなど、大きな効果・インパクトが期待できるものであると確信しています。

 

 

ギャンブル依存症対策はいかに

 

大阪府・市は、「(仮称)大阪依存症センター」を中心とした大阪独自の支援体制の整備や、SNSを活用した広報・啓発、治療プログラムの医療機関への普及など、普及啓発、相談、治療、回復支援にかかる総合的な取組みを進めていきます。

 

「(仮称)大阪依存症センター」は、ギャンブル等依存症に悩むより多くの方々に、 専門職による相談と合わせて、自助グループ、司法書士等の関係団体による支援を気軽に受けられるよう、新たなワンストップ支援拠点として、交通至便な場所に設置することとされています。 

 

 センターについてはIR開業前の設置をめざし、区域認定後、外部有識者を含めた検討の場を速やかに立ち上げ、具体的なサービスの内容や提供体制、立地場所等の詳細について検討を進める予定。 

 

 さらに、府はギャンブル等依存症対策全体についても計画的に進めていくため、今年度末に策定予定の第2期大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画に新たな取組みを盛り込み、対策を強化していくとのこと。

 

 

 次にIR事業者の対応としては、IR整備法の世界最高水準のカジノ規制を遵守したうえで、MGM社の知見とノウハウを最大限活用した、依存防止対策を実施することとされています。

 

 専門部署を設置した上で、顧客への啓発や従業員教育を含む包括的プログラムの導入、IR区域内における24時間・365日利用可能な相談体制の構築や、訓練されたスタッフによる視認とICT技術を活用した問題あるギャンブル行動の早期発見などに取り組むこと。

 

 さらに、本人や家族の申告による利用制限措置や、本人申告による賭け金額及び滞在時間の上限設定を可能にするプログラムの導入など実施していくことなどが予定されています。

 

 今後IRの実現に向けて大阪府・市とIR事業者が互いに密接な連携協力を行い、万全の依存症対策を講じていくことになります。

 

大阪維新の会府議団としても様々な皆様との意見交換を踏まえ、できるだけ早いタイミングで、ギャンブル等依存症対策に関する条例を提案し、効果的な対策を積極的に取り組んでまいります。

 

 

カジノを含む統合型リゾートIRの概要について

 

大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画 【概要版】

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/42448/00000000/gaiyou_20220425.pdf

 

大阪IRパンフレット

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/31325/00000000/IR-Pamphlet.pdf

 

 

 


統合型リゾートIRはカジノが取り沙汰されますが、その根幹は観光戦略・成長戦略にあります。何もでっかいパチンコ屋を湾岸に作りたいわけではありません。

 

上記のような総合的なエンターテイメント施設を設置することで、大阪内外から、国内・国外に問わず多くの方に遊びにきてもらう、一大観光拠点となります。

 

また併せて大阪における国際金融都市戦略や大阪の強みの一つである健康医療産業の展開により海外から多くのビジネス客を取り込む戦略の基盤にもなります。

 

 

大阪の強みである経済・金融・観光拠点など複合的に展開しつつ、観光戦略と成長戦略を強く打ち出していくことで大阪の経済成長を長期的に描き、豊かな税収を元に、長期的に安定した住民サービスを展開していくことが何より重要です。

 

大阪の湾岸エリアは過去に1兆円近い公金が投入されながらぺんぺん草の生える人が寄り付きづらい施設を多く生み出してしまいました。

 

 

大阪維新の会設立以降は、咲洲に大阪府庁と大阪市役所の庁舎が設置されており、今後のベイエリア発展に向けて府市あげた戦略が展開されつつあります。

 

これまでの膨大な公金投入を無駄にしないためにも、民間の活力を生かしつつ大阪を第二ステージに押し上げていく経済戦略の柱である夢洲IRを今後も力強く展開して参ります。

 

 

大阪IRの魅力発信について

 

今回の署名活動についても、大阪IRの理解が十分に伝わっていないことが大きな原因の一つと考えます。統合型リゾートについてはその趣旨や効果、財政的なメリットなどをしっかりと伝えて行くことが行政、及び政治の責務と考えます。

 

大阪府市における発信強化を提案していくとともに、大阪維新の会としても党内に、広報強化を責務とした「大阪IR推進プロジェクトチーム」を立ち上げ情報発信を行ってまいります。

 

一人でも多くの方に統合型リゾートの必要性が伝わるよう今後も取り組みを進めて参ります。