熱海市で発生した土砂崩れによる土石流災害について、まずは被災された方にお見舞い申し上げます。またお亡くなりになられた方々にご冥福をお祈り申し上げます。
2014年には大阪においても豊能町において土砂崩れが発生し多大な損害がでました。
https://www.google.co.jp/amp/s/www.47news.jp/amp/263945.html
個人的に土木事務所において砂防指定地における許認可業務に関わっていたため、今回の熱海の災害のことも非常に重く受け止めています。
建設残土だの盛土だの聴き慣れない言葉が飛び交うんですが、この砂防指定地の許認可業務は役所の中で割と特殊です。
そもそも、山間の造成工事など、勝手にドカスカやられては排水問題など影響が大きいため、当然法の網があります。
砂防指定地と呼ばれる地域での開発工事などは行政に届出ないし許認可が必要となります。
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/shiteichi.html
この砂防指定地が割と曲者でして。
なんせ法の施行が明治時代のため行政機関も地番で管理してるんですが、それが該当すんのかしないのか、非常に不明瞭なんです。
こんな場所でいきなりこんな開発されるもんですから、砂防指定地に該当してんのかどうか、たまに開発者でさえもそもそも届出・申請が必要なことさえ理解してない事案もあります。
また、なんでこんなところでこんな工事やんの?という疑問が湧きますが、当然開発者にとって利益になるからです。
造成工事は宅地として販売するなどの事例が主たるものかと思いますが、他にもさまざまな事例があります。
例えば、場所によりますが、上質の真砂土が取れる場所があります。
真砂土は園芸やグラウンドなどにも使用される需要のある土の種類です。あ、「まさつち」と読みます。
この真砂土を取り、そこに建設残土を埋め戻したりして土地を造成します。
すると真砂土を売った販売分と、残土を受け入れた受け入れ分で事業者はメリットがあるわけです。
(良い土を取って売り、悪い土を買い取り埋め戻す)
元々の土地において真砂土を「切土」し、建設残土を「盛土」するわけです。
切土と盛土の違いはこちら。
特に「盛土工事」は元々の土地に土を盛っていくわけですので、切土部分より強度が弱くなる可能性があります。
造成工事には斜面の法面確度など厳密な審査基準があります。
また最も大事なのは「水の流れ」です。
上記の審査基準3ページくらいから、最初に記載されるのが土地の造成工事により治水上の影響を発生させないこと、です。
山間にながれる水は水路などとして図面で全て保存されてます
(地番で管理されており現況と不一致な点も多いですが。そんな時に活躍するのが測量士のみなさん。だからこそ測量技術は社会経済にとって必要不可欠な。。話しがずれる。。)
造成後に水の流れを適切に管理するため開発者において水路を作らせたり「沈砂池」「調整池」を作らせて流量を管理します。
そうすることで造成工事後の水害を未然に防ぎます。
さてここまで記載しましたが、私はこの業務に関わってとても勉強になりましたが、たまに絶望感に見舞われました。
というのは
「山が広すぎて現場見回るのも膨大な労力がいるしどこが砂防指定地なのか目視では見当もつかねぇし、そんな場所で外から見た感じわけのわからん造成工事してる人たちめっちゃおるやん」
ということです。
「あっこで開発はじまってからすげぇ汚ねぇ水流れてくるんやけど土木事務所どないなっとんじゃゴラァ」というクレームを受けて現場を見に行って発覚、というケースが主でした。
↑例えば上記のかなりの範囲が砂防指定地です。
現場での「パトロール」だけでは違法性のある造成工事を是正させるには限界がありますし、また砂防法など既存の法の網では限界な点もあると感じます。
施行者による管理の徹底など、足立議員を筆頭に本件は維新国会議員団が勢力的に動いて頂いてます。
悲惨な災害のリスクを少しでも減らすため、地方議会としてもこの議論にしっかり向き合っていきたいと思います。