都構想になったら大阪マラソンがなくなる?
MBSのちちんぷいぷい?でおそろしい発言があったようです。
都構想の経済効果についての議論の中での発言ですが。
経済効果の主張をもとに、事業費が削減され大阪マラソン負担分の事業費もなくなるかもしれない、とのこと。
いやー経済効果の報告書のどこをみたらそうなるのか、テレビ放送する立場ならほんとにもっと勉強してほしい。
ほんでもって分からないなら低いレベルでの放送は企画しないでほしい。
影響も大きいんです。テレビの破壊力。
それを分かった上で、ようは「視聴者はよく分かってないからとりあえずディスっとけ」的な発想なら害悪でしかありません。
住民投票時のネガキャンが恐ろしくなります。
さて既に維新の方からいろんな反論がなされていますが、とりあえず相手の土俵に立った上でこのネガキャンを否定します。
都構想経済効果報告書の考え方を踏襲すると大阪マラソンはなくなるのか。
なくなりません。
1、「財政効率化発生の根拠は特定の事業ではなく自治体運営全般の効率化から発生すると考えられているから」です
ってかそもそも
2、「大阪マラソンの事業主体は広域である府に一元化されるため経済効果による財政効率化議論とは関係ない」です。
あと少なくとも維新政治の中で大阪マラソンをなくすとかいう発想は微塵もありません。これは財政経済効果論うんぬんの前に当たり前の認識として主張しておきます。
加えてこんな目玉イベント失くすわきゃありません。
以下ながながと根拠を書きます。多分長いです。書く前から自信があります。
結論は上記ですね、うん、もうなんならここで読み終えて頂いても結構ですなり。
ってか仕事山盛りなのに要らんこと発信しないでよ。。。
まず記載二番目の理由から。
こっちの方が端的だからこっちから書きます。
http://www.pref.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/daitosiseidokyogikai/09hoteikyo.html
第9回法定協議会 参考資料271ページ。
府が事業主体となります。特別区再編で事業負担も府になります。再編効果には関係ありません。
以上。
ここまででもいいんですけど、念のためこの報告書の趣旨から否定します。
さてそもそもの論点、経済効果について。
なんでこのちちんぷいぷいにおけるミスリード発言が導かれたのか、まず相手の土俵で考えます。
大阪市が人口280万をかかえる巨大都市が故にU字カーブの右側に位置し、1人当たり歳出が最適値より増加、非効率性が発生している。
↓
最適規模に近づくことで効率的な財政運営が実現する。
効果額の根本となっている「財政効率化効果」について、「府市再編で効率化すんだから、大阪府市の事業をどれかまるまるっと一つなくすってことですよねー」との趣旨の発言かと思います。
まるっと事業費削減に直結させている安直極まりない発言となります。
さて報告書の本旨。
報告の本旨から、このネガキャンを否定します。
U字カーブの右肩あがりの部分については学術的にもたくさんの研究がありますが、ひとつが「混雑コスト」や「地域内選好の多様化」、そして「補完性の原理」の欠落。
(U字カーブ等報告書の考え方についてはブログ記事をよければご参考ください。その1~3で記載しています)
人口集積地かつ規模が大きいがゆえに負担しなければならない行政コストが発生している。
また本来、広域事務に一元化することで回避できる非効率なコストが発生している。
これらが二重行政の解消でこれらが解消し、より効果的な行政運営が可能になる、というのが報告書の趣旨です。
つまりいま発生している非効率なコストは、どれか特定の事業をさし示しているわけではなく、大阪市の行政運営全般に付加されていると考えられています。
混雑現象については副首都推進本部会議にて申し述べました。
当時、私から提示した資料に基づいてちょっくら説明しますさかいきいておくんなはれ。
いやもう読むのめんどくさい方は読み飛ばしてください。戯言でございます。
自治体は受益者が多いほどきめ細かいサービスを行うことは難しくなる
↓
多くの人員を要したり新たな施設が必要になるなど供給コストがかさんでしまうという現象です。
もうひとつは地域内住民の選好の異質性です。
地域の範囲が広がれば、そこに住む人の数が多くなって家庭事情や経済事情もさまざまと異なり、選好の違いが顕著となる現象。
地方自治体は地域独自のニーズに即した公共サービスを提供していますが、地域が大きくなると地域内住民のニーズが多様になっていって結局供給コストがかさんでしまうと。こういった点がU字カーブの右側、費用が増加していく要因というふうに言われています。
完全に仮定、例えばなんですが、東京都のA区とB区という特別区が合併したとして、東京市となったと仮定します。
本来であれば地域ごとに最適な住民サービスが選択されるべきなんですが、1つの市になると市域全体の均一な行政サービスを図ることが必要になってきます。
その結果、水準の高い行政サービスに合わせていく必要がありますので、結果的に東京市の行政需要は巨大化し、行政費用の増すうにつながっていくと考えられます。
少し実例を用いて算出します。
社会福祉費にまず特化して。
「4つの特別区が合併して東京市となったら」という仮定。
左上の社会福祉費、棒グラフのところが1人当たり行政費です。
大田区、練馬区、足立区、江戸川区、仮にこの4区が合併して東京市となったとして。
その場合、均一な行政サービスを図るため費用最大の足立区に行政レベルを合わせると考えられています。
すると実に346億5,417万円の増額が必要となってきます。これが混雑コストが発生したがゆえに行政コストが過大するという現象です。
同じく、大阪府内の中核市で少し算出してみました。豊中、枚方、八尾、東大阪。
算出方法は同様。棒グラフが1人当たり歳出です。
仮に4つの市が1つの市に合併した場合、同じく均一な行政サービスを図るため、費用最大の東大阪市の行政レベルに合わせると151億6,690万円の増加が必要となります。
自治体は住民の選好を最大限勘案しながら最適な規模の財政運営を実現しています。
その自治体が肥大化すると回避できなくなるコストが存在している。
これがU字カーブの右肩あがりの考え方です。
「人口規模が最適であれば住民満足度が最高点を維持しつつ適切な財政投資も実現する」
これが実現している点がU字カーブの最適点。報告書によれば人口50万程度の自治体となります。
特定の事業費コストを指示しているわけではなく、行政運営全般に付加されていると考えられているコストが区長や区議会の選挙を経て「住民満足度を最適に維持しながら」効率化されていく。これが財政効率化効果です。
今回の協議会でも嘉悦さんからご説明資料にもありましたが、上のグラフが一人当たり歳出です。
赤いのが大阪市を再編した状態の特別区4つの歳出。
ほかの同規模自治体と比べて高くなっています。
豊中市や西宮市の住民満足度は大阪市より低いのか。
最適規模の自治体になれば住民満足度を最適にしながらかつ効率的な財政運営ができるのではないか。
住民満足度を最大にしながら最適な財政運営を目指す、これが財政効率化。
なんども申し上げますが特定の事業の削減等ではありません。
もっかい結論
経済効果の考え方を踏襲すると大阪マラソンはなくなるのか。
なくなりません。
1、「財政効率化発生の根拠は特定の事業ではなく自治体運営全般の効率化から発生すると考えられているから」
2、「大阪マラソンの事業主体は広域である府に一元化されるため経済効果による財政効率化議論とは関係ないから」
なんかまた散文で長文になりました。ごめんなさい。
とりあえず12日法定協議会、頑張ります。