都構想経済効果の上振れ効果
経済効果関連については今回が最後にします。
記事3つて、なげえよ、まとめろよ横山、というお声が聞こえてきそうですが報告書自体がすごく専門的に記載いただいているのでご堪忍頂ければ幸いです。
さて第一弾では効果への反論について反論、第二弾では効果発現の蓋然性等について触れて参りました。
今回は、報告書に記載の10年で1兆1千億円について、そのさらなる上振れの可能性について言及します。
まず効果を上振れさせる要因はいくつかあります。
協議会でも議論のあったところですが、細かい点でいうと「決算値・予算値の摘出」においても直近の決算数字を入れるだけで効果は上振れする可能性が非常に高いです。(報告書における使用年度H28予算16509億円→H29決算17503億円)
ただその論点以外にも、さらなる効果の拡大による税収への影響等は、勘案されていません。
今回の報告書の趣旨は、おおざっぱに申し上げると
1、適正規模の自治体になる
↓
2、財政が効率化する(最大1兆14091億円・政策効果分析)
↓
3、生まれた財源が域内投資に回る
↓
4、二重行政解消による成長の加速で経済効果が出る(最大1兆1511億円・産業連関分析)
ここまでが報告書の要旨です。
さらなる効果とは
1、適正規模の自治体になる
↓
2、財政が効率化する
↓
3、生まれた財源が域内投資に回る
↓
4、二重行政解消による成長の加速で経済効果が出る
↓
5、民間投資が誘発され、域内でさらなる投資が活性化する(民間投資のグラビティ効果)
5、総生産が底上げになることで税収があがり、財源が生まれる
この5の部分がさらなる経済成長の上振れ部分の一つです。
知事から最後に言及のあったグラビティ効果とはこの5の点。
つまり、効率化・適正化され補完性の原則が成立した大阪ではそのポテンシャルが最大限生かされる。
社会資本整備に投資がなされ(東京までとはいかないが)生産力の上がった大阪において域内総生産が底上げされる。
効果額の検証はここまでですが、これがさらなる民間企業の投資を誘発し、それがさらに域内総生産を引き上げる、というのが投資のグラビティ効果になります。
知事がこの点に言及したのはおそらく、肌で実感しているから。
いまの大阪はバーチャル都構想状態。
知事と市長の意思決定が話し合いのもとで一元化され、二重行政のロスを可能な限り減らしています。
そうなると大阪全体の成長戦略が一元化し、観光戦略や都市インフラ戦略等が活発に成果を見るに至っています。
例えば現在、民間の鉄道会社を中心にこれまで凍結されていた路線の議論復活や計画の前進に至っています。
その他にも宿泊事業者さんなども施設の増設・新設を活発にされています。
これが成長にともなう民間投資のグラビティ効果。
上記の都構想による適正規模の自治体再編、補完性の原理による効率化により社会資本整備への投資が活性化。
これに民間投資も誘発される、という流れは容易に想像できます。
今回の報告書にこの点は定量的な検証はなされていませんが、間違いなく経済効果を上振れさせる一因かと思います。
報告書の要旨
もう一点、この報告書んぽ社会資本整備の考え方は二重行政解消に伴う意思決定の一元化を経て限界生産力が向上する、というものです。
過去、大阪は府と市の二重行政により社会資本整備が適正に実行されなかった。
東京都の生産力に差が生まれ、結果的に都市として引き離された。
大阪
限界生産力(社会資本整備)0.196
限界生産力(民間投資)0.167
東京
限界生産力(社会資本整備)0.399
限界生産力(民間投資)0.235
経済効果算出は、「二重行政解消による大阪の限界生産力の向上による経済効果」になります。
個人的に、かなり重要な論点がこの点で、前回の法定協議会で嘉悦大学真鍋教授から指摘のあった点が以下。
つまりこれまで大阪の社会資本投資が十分に成長につながっていなかった大きな理由(限界生産力を低める要因)は大阪市内への投資が十分でなかったこと。
二重行政、大阪府は権限の範疇を超えて大阪市域への投資がかなわなかった。
これにより大阪の限界生産力は高まらず、大阪の成長は大きく遅れた。
大阪都構想により「大阪市内への投資」が積極的になされる。
広域事業体である大阪府にとってこれまで困難であった大阪市役所との調整が発生せず、存分に(旧)大阪市域に広域投資ができる。
これにより大阪の限界生産力は向上し、大阪全体が成長する。
大阪全体で補完性の原理が働き成長の果実を享受する。
この流れが未来に向かって成り立ちます。
大阪都構想の本旨のひとつがこの部分。
そしてこれまで議論だけで定量的な話ができなかった点について、今回の報告書では数値をもってカバーされました。
すなわち従前からネガティブキャンペーンに使用されている文言。
「大阪市の財源が大阪府に奪われる」
についてはまったく真逆で。
むしろ大阪府の従来の成長戦略にかかる財源も、大阪市域の広域事務にかかる財源も、徹底的に大阪市内に集中する、ということがこの点からもわかります。
都構想で一番得をする(広域行政の恩恵にあずかる)のは大阪市民。
この点の主張につながっていくことになります。
これまで欠落していた大阪市域へのインフラ整備等が進み、「大都市大阪」として成長の基盤が完成する。
大阪が成長し、大阪全体、ひいては関西・西日本全体で成長を促していく。
こういった動きにつながっていきます。
今回の報告書はこういった観点からも非常に意義深いものと思います。
ともあれ
・大阪市再編により事業費ベースで年間500億円の財政効率化効果が出てくる。経済効果は最大1兆1500億円
・大阪市再編により令和18年までに財源活用可能額が4200億円でてくる。
今後の活動に向けて論点整理、分かりやすい表現などにも気を使って参ります。