12月24日に一報が流れ、最初は凍り付いたものの、党内ではある程度議論されていたことなのでそれほど動揺はなかったと感じます。
それほどまでに大阪都構想に関する法定協議会の議論は停滞しており、引き延ばしに掛かっていることが明白でした。
他党との交渉は極めて限られたメンバーでしか行っていないため交渉の推移は不明だったものの、知事と市長のフラストレーションは法定協議会の委員としても感じていたところです。
以下、今回の知事・市長の辞職意向に関する報道に至るまでの経緯のまとめです。
とはいいつつ、他党との交渉経緯を詳細に知っているわけでもないし、また知事・市長から明確に辞職の意向が示されているわけでもないので、言葉を選びつつ、かつ私見が多分に入ることご容赦ください。
あと、今回の辞職意向の報道について、もちろん私は全面的に支持します。
さて、辞職の理由は、「知事・市長が選挙公約に示した住民投票の実現が任期内に難しくなったこと」だと思いますが、この辺が一般の有権者にはやや伝わりにくいところかと思います。
平成27年 2015.5 住民投票 反対多数で「僅差で」否決
平成27年 2015.11 松井知事・吉村市長、「都構想再挑戦」を公約に掲げ大差でダブル当選
ここから二度目の都構想に向けて議論が始まることとなりました。
最初は割とスムーズに議論が進んできましたが、おそらく一つのターニングポイントは昨年(平成29年)の2月議会。
議案第66号議案「大阪府・大阪市特別区設置協議会の設置に関する件」が継続審議となります。
本来、ここで法定協議会の設置が公明党との連携のもと可決され、平成29年4月から議論が始まる予定でした。
ところがここで法定協議会の設置の議案は継続審議となります。
ここはからは完全に私見ですが、ここで大きく交渉がずれだしたと思われます。
議案は当然、可決されることを前提に知事が提出します。
当時はH30秋の住民投票を目指していたところですので、H29,4~H30,春頃まで1年間みっちり議論し、総務省に送付したのち法定協で協定書をとりまとめ、H30.9月議会での住民投票可決、H30秋に住民投票実施、が本来の戦略であり、公明党さんともその方向性で協議していたと思われます。
おそらくですが、この辺りまで文章で何か約束を交わすなどという必要もないと維新側も信じていたところでしょう。
ところがこのH29.2月議会において、法定協議会設置条例に関して、これまで協議を進めてきた内容と違う主張が出され継続審査となってしまった。
そこで、このままでは約束が破棄されるリスクを感じたため、書面をもって現時点の議会構成の任期内に住民投票が実現されるよう文書を取り交わすことになりました。
それが問題のこちら。
署名者は府議で両政党の幹事長。
1、議会における法定協議会の可決と
2、今任期の議会構成において住民投票を実現すること
について書面で約束を交わしたものです。
そして平成29年5月議会においてようやく法定協議会設置の条例が可決成立し、改めて特別区設置に関する協定書の議論が再度スタートすることとなりました。
協議会の進行自体も、委員として、当初は比較的スムーズだったように感じます。
ところが回を重ねるごとに、協議の進行が進まなくなりました。今年(H30)の春頃からは顕著になったと感じます。
「法定協議会は開かれてるからええやん」「議論してるやん」という主張もあるかと思いますがこれはまったく詭弁です。
協議会は特別区設置に関する協定書を取りまとめるものです。
参加している委員間(維新・自民・公明・共産)の委員の合議により決定していきます。
その意見をもとに事務局が案を整理し、協定書を取りまとめていきます。
ところが維新を除く会派は、この「委員間協議」にまったく入ろうとしませんでした。
委員間で議論ができない以上は「法定協議会」としての意見をとりまとめることが出来ず、協定書策定に関して前に進むことができません。
そして極めつけは公明党側から事務局サイドへ提案された意見です。
「特別区の組織構成においては全所属より必要人員を積算し、総人員を求めよ。さもなくば基礎自治体として機能するとはいいがたく議論を進めることができない」
というものでした。
私はこれが、知事曰くの「捕れないボール」の一つだと思います。
役所組織は(というか民間企業さんどこも同じかと思いますが)組織の総管理人員を定めたあと、所属サイドの人員要求と人事当局との折衝により人員配置が決まります。総人員は長期的に年齢構成等含めて組織が継続可能なようにマネジメントされながら決定されます。
当然、このプロセスで設計されている特別区素案に対して、「組織の全所属から適正な人員配置を算出の上、積算し総人員を出せ」というものでした。これは議論として「不可能な要求」であり、「捕れないボール」です。
これに関しても知事市長及び事務局は最大限努力しました。
一定の資料をとりまとめ、本日27日、それが法定協議会に提出されます。
しかし、これもおそらく公明党サイドの求めるゴールではなかった。
というか不可能なゴールに少しでも近づける努力をしたものの認められなかった。
こういった経緯の中で、「今議会の構成中に住民投票を行う」という取り決めは完全に履行不能となりました。
いったん取り決めた約束が不履行となった場合、当然「次の提案」が書面によりなされて当然かと思います。
しかしおそらく「次の明確な約束」も取り交わされることがなかった。
表面的には「真摯な議論に臨んでいる」ように見えるものの、その実「捕れないボール」を投げ続けられる状況に業を煮やして、この状況に至っている、と感じます。
松井知事も吉村市長も、見た目はこわもてですが人情派です。
おそらく本当に心底相手を信じて、いつか交渉が進むと信じていた。
ところが歩み寄ってもらえることもなく、最大の公約が実現できないリスクが高まったため、「辞職し出直し選挙も含めてあらゆる可能性を模索する」という状況に至ったと考えます。
以上、、知事・市長の辞職意向報道に関する経緯について個人的に取りまとめてみました。
私見山盛りで、かつ散文長文ですがご容赦頂ければ幸いです。
とにかく重要なことは
「府市再編(都構想)は住民投票で、住民が決める」ことです。
経済効果の算出も含めて前回より大きく前進した素案に関して、住民投票で有権者に信を問う。
この点をしっかり主張して参ります。
・・・・備考
出直し選となった場合相手側が争点とするであろう
1、都構想は決着済み
2、税の無駄づかい
についての反駁はもっと長くなりそうなので後日記載します。