水道水フッ化物添加 | 横山歯科医院

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[水道水フッ化物添加]

(Wikipedia)


水道水フッ化物添加とは、フッ素の化合物(フッ化物)を上水道中に添加し、
多数の住民を対象として虫歯を予防する手法。
北アメリカとオーストラリアでは、多くの自治体が安価な費用で効果を期待
できるとの考えにより、水道水へのフッ化物添加を実施している。
2007年現在、アメリカ合衆国住民の66%が、フッ化物を添加された上水道を
供されている。

(水道水)フロリデーション、水道(水)フッ素化、水道水フッ素添加、
フッ素水道、とも呼ばれる。


北米の水道局ではヘキサフルオロ珪酸ナトリウム等のフッ化物を0.7ppm~
1.2ppmの濃度で添加している。
これらのフッ化物は化学肥料や食品添加物の製造過程においてできる副産物で
あり、リン酸塩(リン鉱石)から脱フッ素化させて精製される。
フッ化ナトリウム(NaF)、モノフルオロリン酸ナトリウム("SMFP" or
"MFP", Na2FPO3)、フッ化第二スズ("フッ化スズ", SnF2)、フッ化アミン
等は一般的な歯磨き粉の材料として知られている。


このフッ化物の水道水への添加には賛否両論の議論があるが、WHOは
「適切な量の水道水フッ化物添加やフッ化物塗布は、虫歯の予防に多大な
利益がある」という見解を表明している。

しかし、CDC(米国疾病予防センター)によれば多様なフッ素暴露を受けて
いる現代,一般的に広範な人々を対象とする戦略としての費用対効果は疑問で
あると報告している。

また、ADA(アメリカ歯科医師会)よれば、カリエスリスクが低度の場合には
「フッ化物の局所応用による利益はおそらく得られないであろう」としたと
いう発表もある。

健康面への懸念、住民から合意が得られるのかという懸念、さらにフッ化物を
添加した水を飲まなくとも、通常の生活を送ることによって(歯磨きをする
等)フッ化物が取り込まれることから、フッ化物の添加を取りやめたり、
添加をしないことを決めた自治体や政府もある。



<議論>
水道水フッ化物添加は、時折議論となる。

水道水フッ化物添加の支持者らは、水道水フッ化物添加は食塩をヨウ素で強化
すること、牛乳にビタミンDを添加すること、そしてオレンジジュースに
ビタミンCを添加することと同様のことであり、また虫歯を予防し、生涯に
わたり口腔保健を向上する、効果的方法であると主張している。

これに反対するグループは、水道水フッ化物添加は健康に歯のフッ素症、
骨肉腫、骨粗鬆症といった害をもたらし、これらによる害は意図している恩恵
より大きいと主張している。
またある反対派は、フッ化物を上水道に添加することは、個人の摂取する
物質の選択を奪う集団投薬であると主張している。



<水道水フッ化物添加設備の故障>
米国では、水道水フッ化物添加設備の不調が、度々生じている。

おそらく、米国における最悪の事故は、1992年のアラスカ州フーパー湾にて
生じたものであろう。
水道水フッ化物添加装置の故障により、大量のフッ化物が飲料水中に添加され
296人が中毒となり、1人が死亡した。
これは水道水フッ化物添加によるフッ化物中毒が原因の最初の死亡報告例で
ある。



<映画にみる水道水フッ化物添加>
水道水フッ化物添加は、大衆文化においてもみられることがある。
スタンリー・キューブリック監督は1964年の映画『博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』にて、
水道水フッ化物添加は共産主義者の陰謀であるという都市伝説を風刺して
いる。

映画『陰謀のセオリー』でのメル・ギブソンのセリフには、「政府が水に
フッ化物を入れるのは、私たちの意思を削ぐためだ」というものがある。



<水道水フッ化物添加の歴史>
水道水へのフッ化物の添加は歯科医のフレデリック・マッケイの研究に依拠
するところが大きい。
フレデリック・マッケイはコロラド州において当時コロラド褐色斑と呼ばれる
コロラド地方の子供達の間でみられた歯の茶色い染みの調査に関わった。

1909年にマッケイ氏によって診られた2,945人の子供の87.5%に茶色の染みや
斑点が見られた。
それらの子供達はロッキー山脈のパイクス山の地域に住んでいる子供達に
限られていたという。

茶色の染みがあり、見た目にも健全な歯には見えなかったが、茶色い染みの
ある歯をした子供達は他の地域の白い歯をした子供達よりも虫歯の発生率が
低かったという。

1931年、調査の結果コロラド褐色斑の原因が当地で手に入る水に非常に高い
濃度のフッ化物(2~13.7ppm)が溶け込んでいることがその原因と解明
した。

パイクス山周辺の岩石には氷晶石というフッ化物を含む物質が存在しており、
雨や雪解け水が氷晶石のフッ素化合物を取り込みながら川を流れ、飲料用水と
して取水されたと考えられている。


その後、茶色の染みができないフッ化物含有量の安全基準がどこにあるのかに
関する調査が開始された。

1934年に、米国公衆衛生局の歯科医官である歯科医師トレンドリー・
ディーンによって水分中における最適なフッ化物濃度を調べる疫学研究が
行われた。
歯のフッ素症を防ぎながら、一方で虫歯を予防できるフッ化物の最適含有量は
1ppmであると結論付けられた。