[アナフィラキシーショック:白血球 好塩基球が原因]
(毎日新聞 2008年3月14日)
ハチ刺されや食べ物が原因で起きる急性アレルギー反応「アナフィラキシー
ショック」の新たな発症メカニズムを、烏山一・東京医科歯科大教授(免疫
アレルギー学)らが突き止めた。
白血球の一種の「好塩基球」が活性化することで、ショックが起きていた。
予防法などの開発につながる成果で、米医学誌「イミュニティ」電子版に13日
掲載された。
烏山教授らは、アトピー性皮膚炎など慢性アレルギー反応の引き金となる
好塩基球に着目した。
抗生物質のペニシリンでアナフィラキシーショックを起こすマウスから
好塩基球を除去すると、ペニシリンを投与してもショックを起こさないことを
確認した。
一方、ショックを起こしたマウスの好塩基球を調べると、表面の「IgG」と
呼ばれるタンパク質(抗体)がアレルゲン(原因物質)と結合し、アレルギー
症状を引き起こす「血小板活性化因子」を放出することが分かった。
これまで、アナフィラキシーショックは、皮膚や粘膜などの細胞の表面にある
「IgE」という抗体とアレルゲンが結び付いて起きることが知られていた。
重症のアナフィラキシーショックを起こした患者は、血液中の血小板活性化
因子の濃度が増加しており、従来の発症メカニズムよりもショックの重症度が
高い可能性がある。
烏山教授は「血液中のIgGを調べれば、アナフィラキシーを起こすアレルゲン
を事前に判定できるかもしれない」と話している。
【大場あい】
http://mainichi.jp/select/science/news/20080314k0000m040139000c.html