「蔵書数の多さを競っていた従来の大型書店は画一的で息苦しい」 | 横山武志建築設計事務所blog

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若手建築家のアイデアの素

本日付(2008年6月11日)の日経MJに
迫慶一郎氏の設計した 「金沢ビーンズ」の記事が載っていた。

若手建築家 渋谷 設計事務所 住宅

「金沢ビーンズ」とは、北陸の書店、明文堂書店が、石川県庁前に開店した
大型書店で、売り場面積4200m2、蔵書数80万冊以上の日本最大級の書店とのこと。

タイトルの「蔵書数の多さを競っていた従来の大型書店は画一的で息苦しい」というのは
設計の迫氏と明文堂書店の清水社長の共通認識という。

この設計のモチーフは、建物名にあるように「豆」とのこと。
人が読書を通じて育つさまを豆が芽を出し成長する姿に重ねて訴えたかったと言う。
写真を見ると、豆型の建物は、本棚が緩やかに弧を描きながら取り囲み、
空間にゆとりと一体感を生むような印象を受ける。
金沢に行ったら是非訪れてみたい建築の一つ。

最近、書店の大型化が進んでいるという。
「本を買う」こと自体は、簡単になってしまった。
明確に買いたい本がある人にとってはインターネットで済ましてしまう。
自分にとってアマゾンも使うが、書店に行くことは好きなことである。
何を求めているかというと、やはり「発見」ではないかと思う。

ヴィレッジバンガードが好例で、商品を問わず「ある人の感性による」類似を
並べることにより、思わぬ発見に巡り会える。

また「大型化」が進むと、ほんの量感がすさまじい
池袋、新宿の都心の大型書店では、本棚が天井まで高くあり
やはり息苦しい。椅子を置くことで滞留時間を延ばすというが
「金沢ビーンズ」のような居心地までこだわって欲しいところだが。

都心の場合は、スペースの関係から、同じようには出来ないが
従来にない「出会い」のある書店があるといい。