「西洋美術館見学会」に参加してきました。

△国立西洋美術館(モデュロールの石割の前庭)
国立西洋美術館を含むコルビジェ設計の建築が、
来年夏を目標に世界遺産への登録が進められているようです。
世界各国にはコルビジェの設計による建築がありますが、
その全てが登録される訳ではなく、
史的に重要且つ監理保存状態からピックアップされているようです。
(もちろん各国の政府のバックアップが必要です)
この国立西洋美術館は、コルビジェの「無限発展美術館」の思想を
明確に表すものとして、美術館の中で唯一の登録となるようです。
(2008.2現在、最終的なリストではありません)
美術館内部は、コルビジェ建築の定規ともいうべき
「モデュロール」により、天井高等の寸法が決定されており、
心地よいスケール感となっています。
現在の美術は、スケールを逸脱する傾向があり、
最近の六本木の国立新美術館の展示室と比較すると
美術がどのように変化したのかが分かりやすいです。
参考:ブログ「国立新美術館」
<その1>
<その2>
<その3>
<その4>
「無限発展美術館」は中央にある吹き抜けから
スロープで2階に上がり、渦巻き状の展示室を巡る構成になっており、
増築を続けられるコンセプトですが、
この「国立西洋美術館」は、1重のみとなっています。
この建物の見所としては、中央の大ホールの吹き抜けでしょう。
スロープ、トップライト、バルコニーの構成等、
コルビジェ建築のエッセンスの集積とも言える空間です。

△大ホール吹き抜けトップライト
そもそもなぜコルビジェが世界遺産なのか?
講師の方も語っていましたが、
20世紀の建築において、当時の新技術である、
鉄骨と鉄筋コンクリート造の建築において、
コルビジェが新しいスタイルを確立したことによります。
コルビジェが提示した建築の思想を元にして
現代建築が成立しているといっても過言ではないでしょう。
世界遺産については、「周知」という観点から見れば
多大な効果があります。
この登録により、建築の文化的価値が構造することを
切に願います。