死のうと思う程の苦痛 | ヨコオタロウの日記
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人生は苦しみである。そして二人の人間の間の唯一の相違は
その人の味わっている苦しみの程度の差に過ぎない。

/ バーナード・ショウ



「痛み止めってあんまり飲み過ぎると効かなくなるよ」
って話をしてて思い出した事。



昔、首と肩が痛いナーと思ってしばらくすると歯まで痛くなってきました。
そこで歯医者に行ったけれど原因は良く判らない。
肩こりとかそういうところから来てるかと思い、普通の病院に行ったけれど原因が不明。

で、週末を迎えたんだけれど、ドンドン痛みが酷くなります。
明らかに歯なんだけれど、普通の痛みじゃない。
歯医者にもらった痛み止め(ロキソニン)が全く効かない。

痛くて寝られない。脂汗は出てくるし、痛みで変なうめき声まで出る始末。
とにかく今までの虫歯で痛いとかいうレベルを遙かに超えた痛み。

結局その日は寝られず、日曜日の早い時間に近所の休日診療をしている歯医者に。
「もういっそ歯を抜いてくれ!」と言ったんだけれど、応急なので治療は出来ないとか。結局、もう少し強い痛み止め(ボルタレン)をもらい、なんとか日曜日をしのいだ。ボルタレンは良く効いて、日曜の夜はなんとか眠る事が出来ました。

その後、月曜日にいつもの歯医者に行ったら、治療した内部の神経が腐っていたのが原因と発覚(かぶせモノの内側だから見つからなかった)。神経を抜いて無事に終了……



瞬間的な激痛ではなく、継続する痛みというのは人の心を狂わせます。
あまりにも痛くてまともな思考が出来なくなった時に自分が、何を考えたか?

なんとか痛みを抑える方法はないか?
迷信とかでももしかしたら役に立つんじゃないか?
本当にこの痛みから抜け出す事が出来るのなら、死ぬのもアリか?

そう思った訳です。しかも延々とその思考ループ。
たった一晩でこれですから、これが何ヶ月も続くとか考えたくありません。
体ではなく、心が壊れます。



ずいぶん昔の記事ですが、

「生きていればいいことがある」 崖の淵の男性に、30人がかかりで説得5時間→男性、「ごめんなさい」と投身自殺…静岡
http://nukohiroba.blog32.fc2.com/blog-entry-1766.html

合理的に考えれば「強い痛み止めを処方してナントカできるのでは?」と思うかもしれません。

けれど、長期間痛み苦しめられるという状況を僕は体験した事がありません。医者ももちろん判らない。今生きてるという事は、自殺していない(出来ていない)という事ですから「本当に死んだ方がマシ」という状況を味わっていない訳です。
歯の痛みなんかをはるかに超えた苦痛。想像しただけで具合が悪くなります。



現在日本では安楽死は認められていません。

その必要性を僕等が知るのは、癌などの痛みで継続的な苦痛に見舞われた時です。治療が上手くいったかどうかで、そのときに自分が安楽死を必要とするか?が初めて判ります。

「仮に」安楽死を必要としたとしても、その時には手遅れです。
自殺を意識するほどに苦痛を感じている体では、安楽死の必要性を世間に訴えかける時間も体力もありません。しかも、その先は死ぬだけですから「必要だった」という声を後から上げる事も出来ない。

是非を議論するのは、僕のような痛みを知らない人ばかり。



安楽死の必要性はさておき。

癌の痛みに耐えかねて飛び降り、岩に叩き付けられて死んだ男性を見ていると「命を失う意味って一体なんだろう?」と思う訳です。

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