よしもとばなな居酒屋について | ヨコオタロウの日記
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もしも店長がもうちょっと頭がよかったら、私たちのちょっと異様な年齢層やルックスや話し方を見てすぐに、みながそれぞれの仕事のうえでかなりの人脈を持っているということがわかるはずだ。

人生の旅をゆく / よしもとばなな



話題の「活字中毒R。」さんところの記事。

よしもとばななさんの「ある居酒屋での不快なできごと」
http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20090808

よしもとばななが飲み屋に持ち込みして怒られてキレた、という話。



これについては色んな人が語っている上に、全面的にそちらに同意するのでリンク。

世の中はギブ&テイクだ。ギブする前にテイク寄越せって奴はみな死ね!
http://dochikushow.blog3.fc2.com/blog-entry-1266.html

よしもとばなな様、下界の居酒屋を体験されるの巻
http://anond.hatelabo.jp/20090814074831

ファンばっかりが読むエッセイだったのに、ネットに引きずり出されて叩かれる訳だから作家は大変だなあ。
まあ、叩かれるだけの感じの悪さでしたが。



よしもとばななが行った居酒屋での行為の意味が浮き彫りになるかと思ったので、ちょっと内容をリミックスしてみた。
※「活字中毒R。」さんところの原文を読んでないと何も面白くないです。
※下ネタなので限りなく注意。














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『人生の旅をイク』(よしもとばななみるく著・フランス書院)より。

【この間東京で風俗店に行ったとき、もちろんプレイやパフパフを散々楽しんだあとで、友だちがヨーロッパ仕込みのSMプレイをやろう、と言い出した。その子は一時帰国していたが、もう当分の間外国に住むことが決定していて、その日は彼の送別会もかねていたのだった。
 それで、お店の人にこっそりとSMをさせてくれる? と相談したら、気のいい女の子がローションを余分に出してくれた。縛り用の荒縄はないということだったので、近所にある閉店後の友だちの店から借りてきた。
 それであまりおおっぴらに遊んではいけないから、こそこそと股を開けて小さく挿入をして、一人の女の子を七人でちょっとずつ味見していたわけだ。
 ちなみにお客さんは私たちしかいなかったし、閉店まであと二時間という感じであった。
 するとまず、受付でバイトのオッサンが激しく叱られているのが聞こえてきた。
 さらに、突然店長というどう考えても年下の若者が出てきて、私たちに説教しはじめた。こういうことをしてもらったら困る、ここはそういう店ではない、などなど。
 私たちはいちおう事情を言った。この人は、こういうわけでもう日本にいなくなるのです。その本人がおみやげとして海外で覚えてきた特別なプレイなんです。どうしてもだめでしょうか? いくらかお金もお支払いしますから……。
 店長には言わなかったが、もっと書くと実はそのプレイはその子が亡くなった奥さんに教わったプレイスタイルでもあった。人にはいろいろな事情があるものだ。
 しかし、店長は言った。ばかみたいにまじめな顔でだ。
「こういうことを一度許してしまいますと、きりがなくなるのです」
 いったい何のきりなのかよくわからないが、店の人がそこまで大ごとと感じるならまあしかたない、とみな怒るでもなくお会計をして店を出た。そして道ばたで楽しく回しプレイをして楽しんだ。
 もしも店長がもうちょっと頭がよかったら、私たちのちょっと異様な年齢層やルックスや話し方を見てすぐに、みながそれぞれの仕事のうえでかなりの人脈を持っているということがわかるはずだ。それが成功する人のつかみというもので、本屋さんに行けばそういう本が山ほど出ているし、きっと経営者とか店長とか名のつく人はみんなそういう本の一冊くらいは持っているのだろうが、結局は本ではだめで、その人自身の目がそれを見ることができるかどうかにすべてはかかっている。うまくいく店は、必ずそういうことがわかる人がやっているものだ。
 そしてその瞬間に、彼はまたSMプレイで起こるすべてのリスクとひきかえに、その人たちがそれぞれに連れてくるかもしれなかった大勢のお客さんを全部失ったわけだ。
 風俗店で土曜日の夜中の一時に客がゼロ、という状況はけっこう深刻である。
 その深刻さが回避されるかもしれない、ほんの一瞬のチャンスをみごとに彼は失ったのである。そして多分あの店はもうないだろう、と思う。店長がすげかえられるか、別の風俗店になっているだろう。
 これが、ようするに、都会の風俗店で起こっていることの縮図である。
 それでいちいち開店資金だのマーケティングだのでお金をかけているのだから、もうけが出るはずがない。人材こそが宝であり、客も人間。そのことがわかっていないで無難に無難に中間を行こうとしてみんな失敗するのだ。それで、口をそろえて言うのは「不況だから」「遅くまで遊びに来る人が減ったから」「もっと天然をうちだした女の子を用意してみたら」「コンセプトを変えてみたら」「場所はいいのにお客さんがつかない」などなどである。

(中略)

 というわけで、いつのまに東京の風俗店は役所になってしまったのだろう? と思いつつ、二度とは行かないということで、私たちには痛くもかゆくもなく丸く収まった問題だったのだが、いっしょにいた三十四歳の男の子が「まあ、当然といえば当然か」とつぶやいたのが気になった。そうか、この世代はもうそういうことに慣れているんだなあ、と思ったのだ。いいときの日本を知らないんだなあ。】
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全く意味不明に変質した。
あと、なんだか判らないけど微笑ましい感じになった。これでなぎら賢一あたりが酔っぱらいながら喋っていたら全然許せる。不思議。