差別主義者を差別するということは | ヨコオタロウの日記
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大人とは不思議な生き物だ。
ある時は差別なんかいけないといい、
ある時は巧妙に差別を推奨する。
その自己矛盾を
どのようにして消化していくのか。

手紙/東野圭吾



最近、新卒面談を何回かした。
いくつか日記用に残っていた「差別」に関するメモと一緒に「就職と差別」について考えてみる。

書き散らかした上、ろくな結論になっていないので注意。



男女差別考
http://www009.upp.so-net.ne.jp/yosi_woods/danjo.htm

>しかし、上述のように女性は男性とまったく同じように採用できない。これを男女差別とは言わない。

差別だよバカ。
しかも、こいつはどっかの企業の人事担当。終わってる。



同じく存在する、学歴差別。
最近は「大学院卒」ブームらしい。


「大卒」はもう十分な学歴ではない
http://diamond.jp/series/glad_school/10001/

途中の論理が恐ろしい事になっている。
「ジャーナリストは大卒しか取らないから、院卒の大切さを伝えないんだ」
MMRか。


あなたにもできる!大学院で学歴リセット(書籍)
http://www.amazon.co.jp/dp/4887593732

>「大学出ていないもん!」「三流だから・・・。」
>というコンプレックスで自分を無駄にするなんてナンセンス。
>短卒の私が出来たように、案外簡単にリセットできるのです。

答え:いいえ。学歴にコンプレックスを持つような品性まではリセット出来ません。



就職採用に於いて「男女」「容姿」「学歴」「人種」の差別はあるか?
そりゃ、ある。

あくまで個人的な雑感を書くと、

・ 2人に1人は本人も気づいていない差別意識を持っている。
・ 4人に1人は自覚的に差別意識を持っている。
・10人に1人は矮小な知性で差別自体を正当化してしまっている。

人に差異がある以上、それを取り上げて差別する事は避けられないと思う。
僕だってそうだ。絶対にどこかで差別している。

問題は、それを無くそうという姿勢なんじゃないだろうか。
差別に理由をつける暇があるんだったら、その理由とやらを潰す努力をしたい。
そうでないのなら、せめて恥じらうくらいの品性を持ちたい。



面接では聞いてはいけない事というのが存在する、らしい。
たとえば「家族」「彼女(彼氏)」の話とか。

それが差別につながるから、だとか。

うーん。
問題なのは、そういう話を「部落出身者じゃない?」とか「片親の子はダメ」とか「彼氏が居るとIターンするんじゃない?」とかそういう差別につなげる人であって、話題そのものに罪は無いんじゃないのか?

なんかそれを「○○の話は聞かないでください。いろいろ問題が怖いから」っていうのは、単に手段に逃げているだけだろう。
聞かれる方も胸を張れ。なんでもかんでも差別に結びつけるな。
過剰に反応しすぎで、逆差別になってしまった「カルピス」や「ちびくろサンボ」と同じだ。

面接でその人を知ろうとする時に、家族や恋人の話題は絶対に必要だとは思わない。
けれど、わざと避けるのはなんかおかしいと思う。



僕は、差別主義者を差別する。
個人は、人間性や能力や行為で評価されるべきだ。
それ以外のところで他人を評価するのは間違っている。

何かに理由をつけて、差別する人間を憎む。
言葉狩りに便乗して、差別にフタをする人間を憎む。

じゃあ、
JASRAC や放送利権に群がる人間を「ゴミ」と呼ぶ僕は一体なんだ?
16歳の少女が処刑されるイスラム教世界に感じるこの嫌悪感は?
暴力団というだけで眉をしかめる事を止めることが出来るのか?

無理。
自分の意識をすぐに変えることなんて出来ない。

それでも僕は「性差や学歴で差別する」のは恥ずかしいことだと書いておく。
何が間違っているかどうかは、書いた後から考える事にした。