もしも自分の愛する息子が
臓器移植しなければならない
病にかかってしまったら。
もしも自分の愛する娘が脳死判定をされ、
医師から闘病している他の子供達への
臓器提供を提案されたら。
みなさんはどうしますか?
想像力を働かせてイメージができますか?
ほとんどの方々は他人事と思うでしょう。
わたしは前者の方の父親となりました。
世間の皆様に100回いや、1,000回、10,000回
土下座をしても息子の命を助けたくて
海外への渡航移植をさせていただきました。
その背景には当時(2010年)小児の心臓移植は
国内で法的に受けることができなかったことも
ありますが、海外での移植医療に関する文化や
思想が日本とは異なる捉え方で息づいている
ことに感銘を受け、藁をもつかむ思いで
息子を救命するチャンスを求めました。
仲間や世間の皆さまのお力をお借りし、
募金活動をお世話になり、
おかげ様で渡航させていただきました。
渡航先のニューヨークではいくつかの
試練がありました。
ドナーを待機している途中で
硬膜外出血を起こし、
補助人工心臓を装着している状態という
極めて難易度の高い手術をうける
場面がありました。
本来、ドナーを待機していた
立場の息子でしたが
死亡確率が高い手術上、
万が一の時は他の子供達へ
臓器提供をしますか?
という質問をされました。
このような状況でそのような
投げかけがあるとは
想定していなかったので
一瞬のためらいはありましたが
私たちのような思いで過ごしている
ご家族と子供たちが
このアメリカにもいることを想像すると
ためらいは消えて、
「YES」と答えていました。
先般の報道でもご存知の通り、
先日、阪大で6歳の女の子が息子と同じ
拡張型心筋症で補助人工心臓を装着し、
ドナーを待機中でしたが
ポンプ内に付着した血栓が体内に飛んでしまい、
脳梗塞を起こし、亡くなりました。
私は本ブログを通してご縁をいただいた
同じ境遇の方からご連絡をいただき、
女の子のお母さんとフェイスブックで
渡航移植について連絡を取り合い始めた矢先でした。
とても残念で仕方がありません。
ご両親は心身ともに引き裂かれるような心境の中、
今回の経緯をマスコミを通して
世間の皆様に公表しました。
その行動により、厚労省は女の子と同様の
例が起きないよう基準緩和を決め、
治験実施病院の阪大病院と東京大病院に
伝えたようです。国内では体重20キロ未満の
小児に使える補助人工心臓が無く、
両病院が2012年4月からドイツ製の
補助人工心臓の治験をしていましたが
今年夏にも承認される見込みとのことです。
また、「拡張型心筋症という病気」
「小児の補助人工心臓の現状」
「移植への理解」の関心を広める
とてつもない大きな一歩の足跡を
残されたのだと思います。
彼女が命をかけて変えた心臓病の
子供たちの世界。
「これで生きることができる!」
まさしく闘病をしている子供とそのご家族に
それ以上にない希望の光を見せてくれた
のだと思います。
彼女とご両親の
その振り絞るような勇気に心から敬服いたします。
その影響のためか、一時わたしの本ブログの
アクセス数が○○万アクセスというとんでもない
PV数になりました。
訪れていただいた方がわたしたちの経験に共感し、
関心を持っていただき、
移植に対する「意識」を良い方向に持って
もらえたら本望です。
そしてわたしはこれまでの渡航移植経験者が
協力して次の子供達やご家族を応援していく
コミュニティを確立していきたいと思っています。
個人的に親友と信頼できる仲間たちの力を借りながら
「スコップ団ハート」という任意団体で
渡航移植を目指すご家族に本当に
微力ながらご協力をさせていただいておりますが
移植をされた諸先輩方や同志のみなさんと
いつでも協力体制がとれ、
情報を集約してご家族へ発信できる
「拠り所」になりたいと思っています。
と、同時に日本人への
移植医療の文化が定着するように
これから出会う方々へ
移植医療の素晴らしさを伝えていきます。
こんなに弱っていた息子でしたが・・・
移植医療のおかげで元気にならせていただきました。