去年の今頃の風の中・・・ | 小児拡張型心筋症闘病記録「パパ!ぼく元気になったらジャスコに行きたい!」

小児拡張型心筋症闘病記録「パパ!ぼく元気になったらジャスコに行きたい!」

4歳の時突然「特発性拡張型心筋症」になった息子と家族の記録です。

去年の今頃は、毎日が不安に支配され生きた心地がしなかった。


去年の今頃は、息子の意識が覚醒して家族全員で歓声をあげて

喜んだ。


去年の今頃は、一刻も早く補助人工心臓をはずしてあげたいと

思っていた。


去年の今頃は渡航心臓移植に向けて覚悟を決めたはずだったけど

時が戻ればいいのにと本気で思っていた。


悪化して生死を彷徨い、必死に生きたいことを訴えた君。


覚醒してリハビリをがんばり、見事に生還した君。


いつでもありのままを告白していたけど泣き言は決して言わなかった。


元気になったら何がしたい?って聞くと決まって

「ぼく、ジャスコに行きたい」と言っていた君。


君を助けたいと奔走していた自分が実は君に支えられていたんだ。


5歳にして親孝行をたくさんしてもらった。ありがとう。




去年の今頃は、心配で仕事なんか手につかなかった。


去年の今頃は、ひたすら元気になることを毎晩寝る前に祈っていた。


去年の今頃は、夕方、病室に行くと「パパ、おかえり!」と迎えてくれる

君の声と笑顔が愛しくてたまらなかった。


抱きしめるたびの補助人工心臓の振動に、悲しくもなり感謝もした。

この装置が君を生かしているのだと。




去年の今頃、君は渡航移植について君なりに理解してくれた。

一緒に運命を受け入れてくれた。


僕ら夫婦を親に選んで生まれてきてくれてありがとう。


去年の今頃、素直に綺麗と思えなかった通勤時に見る同じ桜が

今年は美しく見える。


もうすぐ君に会える。すごく楽しみだ。


たくさんの人たちに支えられていただいた「新しいおムネ」に

感謝しながら


来年の今頃は君とママと3人でジャスコとか桜を見に行こう。



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 移植後ユニオンスクエアの公園で