心・体・魂の声を聴く
ことほぐ清水陽子です。
今日は数カ月ぶりに父に会えました。
去年、保冷材の誤食をしてしまい、
それ以降、さらに症状が悪化してしまい、
かかりつけの病院が入院を受け容れてくださいました。
コロナ渦で、入院中に面会が出来たのは
姉が1回のみ、ほんの5分程度。
それでも主治医のご配慮によってでした。
受け入れ可能な上限のぎりぎりまで入院させていただき、
そこからショートステイの受け入れ先が決まったので、
自宅に戻らずそのまま移送していただきましたが
コロナ自粛宣言も出たので、
誰も全く面会できていませんでした。
こちらもマスクをしていたこともあって、
最初は、娘たちということが
認識しづらかったようですが、
話していると次第に記憶が繋がってきたようです。
お互いマスクをして、
透明パネルを挟んでの面会です。
聞き取れない、理解できない話もありましたが、
次第に自分から色々な話をしてくれました。
わたしの名前も、姉の名前も、
こちらから言うと、思い出して呼んでくれるのですが
「女房が～しているから」
「女房が、、、」と連呼していて、
元々、母の事と姉の事も混ざっているようだったので
よくよく聞いてみると
女房が体調が悪いから早く家に帰ってやらないといけない
としきりに言っていました。
父の中では、自宅で医療ケアを受けていた母が
まだ自宅で具合を悪くしているから
早く帰ってあげたい、
顔をみたい、と思っていたようです。
それを聞いた、姉と私は
本当のことを言っていいのだろうか
このまま穏やかな気持ちでいてもらった方がいいのではないか
とも思いましたが
あくまで一時入所の施設なため、
近いうちに自宅に戻らないといけません。
自宅には遺影もお位牌もあります。
楽しみに帰宅して死を認識する方が残酷です。
姉がゆっくりと確認するように父に説明をしました。
お母さんね、具合悪かったよね、
2年前に亡くなったよね。
お父さん覚えてる？
父は言葉を失って
頭を殴られたようなショックを感じているのが
対面している私たちには
とてもよく分かりました。
父はしばらく無言でした。
お母さんの為に〇〇にお墓立てたよね。
それは覚えている？
-覚えている
母を思い出す写真も何もないまま
数か月過ごすうちに、
一番つらかった記憶が抜けたのだろうか。
点になった記憶が、こちらの補足で線になるようでした。
わたしもリアルな夢をみたら
目が覚めた時に
あれ？と思う時があるので、
認知症でなくても、
確認できるものがなかったら
辛いものであればあるほど、
同じように思ってしまうかもしれません。
私の携帯の容量がいっぱいになってきて
過去の録音を整理していたら
3年前にタイトルをつけていないものがあって
再生すると
入院中の母と家族と主治医で、
今後のケアについて話し合っている会話でした。
自宅での医療ケアのことなど、
重要なお話があれば聞き返せるように、と録音していたのを
すっかり忘れていましたが、
久しぶりに母の声を聴きました。
母が体調を崩してから、
写真は撮ることがあっても
動画や声を残すことがなかったので、
今となっては貴重な記録になってしまいました。
亡くなった人のことを忘れる時
声から忘れる、と言われています。
そして最後まで覚えているのは
匂い
脳にダイレクトに作用する「嗅覚」は
記憶や情動と結びつきが強く
最後まで記憶に残ると言われています。
声を忘れると、
次第にその人との体験や思いなども
薄れていくそう、、、ですが、
父が外泊で戻るときには、
音声や画像をみてもらった方がいいかもしれない
と感じています。
悲しみもありますが、
大切な人を偲ぶことは、大切なことだと、感じています。
次に面会出来る時は、
どのような状態でしょうか。
それでも心穏やかに接してくださる施設の方々へ感謝です。
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