今でもひっかかること | 生存率5%にかけた夫婦の闘病記(二人三脚で病に打ち勝つぞ!)

生存率5%にかけた夫婦の闘病記(二人三脚で病に打ち勝つぞ!)

32歳で自分の腎臓癌が見つかり、手術も成功してホッとする間もなく
今度は最愛のダンナさんにスキルス胃癌が!!
2年1ヶ月の闘病を終え、ダンナさんは旅立ちました。
ダンナさんとの想い出と1人娘との生活について書いてます。

ダンナっちが亡くなって、

1ヶ月と1週間が経ちました。


じつはひっかかっている事があるんです。


それはダンナっちが亡くなる当日の朝、

夜勤からの担当看護師さんから言われた一言。


「あなたはいいわね」


です。


その方おそらく40代~50代の方なのですが、

やはりお父様をスキルス胃癌で亡くされているそうです。


癌が見つかった時はお父様自身は70歳すぎていて

やはり末期だったそうで。


当然その看護師さん自身もそれなりの年齢で

責任ある立場での仕事をされていたそうで。


お父様の癌が見つかって、すぐに仕事をやめたかったけど

立場上できなくて、

満足な看病もできないまま、お父様は2ヶ月で亡くなったそうです。


ダンナっちの顔を拭きながら

「私も父にこういうことしてあげたかった」

と言われました。


ここまでは同じ癌患者を持った家族の感情として

理解できるところもあるんです。


でも次。


「父は最低最悪の細胞タイプだったから」


「ダンナさんはまだいい方よ」


「あなた(私)はいいわね」


この言葉が今でもひっかかります。


確かに父親の看病をしたかった気持ちはわかります。


だけど「いいわね」はないでしょう。


私はダンナっちと一緒にいられた時間は幸せだったと思うけど

でも当時の私は夜中も寝てるんだか寝てないんだかの生活。


ダンナっちがちゃんと息をしているか

毎晩何度も目を覚まし、確認する日々。


不安や痛みで夜中にダンナっちに呼ばれて

起こされる事も毎晩あったし。


娘っちの事もあり自宅と往復したり

いつダンナっちが急変するか・・・と

毎日不安の中で生活していて。


ハッキリ言って、身も心も限界に達しようとしていた。


そんな時に「あなたはいいわね」と言われて

素直に「はい、そうですね」とは言えなかった。


その看護師さんはきっとお父様の最期をしっかり看てやれなかった

そんな後悔があって、

私に後悔がないよう、今を大切に・・・と

言いたかったのかもしれない。


でも・・・。


あの時の言葉は今も、

私の心のどこかにひっかかっている。


看護師さんだって人間。


感情だってあるし、それぞれに抱えているものもある。


だけど、その一言が相手にどう影響するか

考えて欲しかった。


ギリギリまで病と闘っていたダンナっちを目の前に、

「ダンナさんはまだいい方よ」というのも

いかがなものかとも思ったし。


確かに細胞レベルでは看護師さんのお父様より

まだマシなタイプだったのかもしれない。


だけど本人にとっては2年間も辛い治療を続け

精神的にも肉体的にもギリギリのところで

ずーっと攻防してきて。


本当に命をかけた闘いをしていたのに

それなのに「まだいい方」なんて言われて

ダンナっちはすんなり「そうだね」なんて思えただろうか。


ダンナっちが闘ってきた2年間の姿を見てもいないで

「いい方」だなんて、言って欲しくなかった。


お父様を癌で亡くされているからこそ

わかって欲しかった。


そしてターミナルケア専門病棟の看護師さんだからこそ

その辺の配慮が欲しかった。


私の心が狭いだけなのかな・・・。


この事があった数時間後、

ダンナっちは息をひきとりました。


なんだか心にひっかかるできごとでした。


まぁ、ダンナっちの事だから

きっとこんな私に「気にするな」

「色んな人間がいるんだから、許してやれよ」

なんて言っていそうです。