持ち主が現れたら勿論返す | 今酔の肴

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店内に入店する。すると聞こえてくるあの声、それに釣られて他の店員も声をあげる。
山彦のように何度も聞こえ始めるともう終わりだ。
わざとその声を真似して楽しむ遊びもあるみたいだけど、それを楽しむ心の余裕は自分には無い。

あの山彦ボイス、接客業としてマイナスでしか無いような気がしてならないのだけど、どうだろう?
プラスな部分を考えて見る。
防犯(万引き)対策なのかな?確かにあそこの値札シールは特注品じゃないかと噂になるほど屈強だ。

先日買った小説にも貼り付けられていた。紙の裏表紙のバーコードに何枚も貼られたアイツを剥がしたら、案の定バーコードが剥げた。バーコードなのに剥げた。
ツマラナイ冗談を言っている場合じゃない(わからない人はほっておきます)

あのバーコードが剥げる瞬間の虚しさたるや無いですよね。
まぁ、100円の小説買っているからこその虚しさだとは思うんですけど。
たぶんお高い本のシールは時間が経ってないだろうし枚数も少ないだろうから、まだ剥がしやすいと思うから……

そんなバーコードが剥げた本(北尾トロ著『中野さぼてん学生寮』)を風呂場で楽しんでいました。
一通り読み終えるが先か、熱さに耐えきれなくなるのが先か、そんな無意味な意地の張り合いに負け、栞を探す汗ばむ左手。
古本というのは栞が入ってない事が多いが、無事に栞を発見し、読みかけの頁に挟もうとするもなにやらデカイ。

汗にしみる眼でその大きな物体を見る。栞では無いその物体を見る。
それは一枚の写真だった・・・

こういう時に現れる写真というのは大抵気味が悪い。
にこやかに笑う中年夫婦だったり、病室で佇む老人の写真だったり、あどけない赤ん坊の写真などがそれだ。
ただこれは完全に自分の妄想であるし、なんなら希望だったかもしれない。
そういう写真も気味が悪いが、違う意味で気味が悪かった。



お分かりいただけたであろうか?
木の穴から覗く齧歯類の写真
正直何の動物かもわからないし、なぜこの写真をこの小説に挟んだのか(ちなみに栞は入っていた)、そして店員はなぜ気づかなかったのか?

千葉の某『本を売るなら♪』のお店で買った小説から出てきたこの写真、もし仮に持ち主さんが現れたら返却したいと思いますのでご一報ください。

突如現れた宝探しのような体験
それが今年のGWの始まりとなりましたとさ