安心して絶望できる人生 | ライフ@さいはら

安心して絶望できる人生


という名の本を読んでいます。すごいインパクトでしょ。笑


北海道にある浦河べてるの家という、

統合失調症などを抱える人たちが暮らす

共同体のおうちの実態が描かれているんだけど、

読んでいてもこっちまで苦しくなるくらい、

生きにくさのプロたちが集まっています。


で、おもしろいのが、自分で自分の症状に名前をつけるの。

「人間アレルギー症候群」とか「幻聴さん」とか

「慢性涙腺ゆるみっぱなし症候群自分いじめ型」とかね。


そんなふうに、今自分がどういう状態でどんな気持ちでいるかということを、

自分の言葉にして人に伝えたり、

誰かと痛みを共有したりして

少しずつ自分を信じていくことができるみたいです。



この本を読んでいて、すごいなぁと思うのは、この考え方なんだよね。

「今日も順調に問題だらけ!」って言えるすごさ。

だって、ほんと現実に起こっているのは、

笑えない問題だったりするのにね。

それでも順調、なんだもんね。

この器のでっかさ。すばらしい。



『浦河で暮らしていると、他では一般的に使わないような

ユニークな会話が飛び交うことが多いことに気がつきます。

「自分の行き詰まりに手ごたえを感じる」

「この困り方は、いい線をいっているね」

「悩みのセンスがよくなってきた」

「自分の悩みや不安に誇りを感じる」

「最近、落ち方がうまいね」「あきらめ方がうまくなってきた」

「悩みの多さに自信が出てきた」「病気スジがいいね」など不思議なメッセージが、

日常的な会話の中に行きかうのです。』

ね。おもしろい。


ほんで、もっといいなぁと思ったのは、

この人たち自分たちで起業したりビジネスを始めちゃったりするのね。

で、会社のスタンスが、

「●「虚しさ」を絆に ●体と心にやさしい会社づくり 

●いつでも廃業 ●期待されない会社づくり 

●安心してサボれる、潰れる、通える、語れる会社づくり 

●命がけの苦労の体験が資本」 

なんだって。すばらしい。

まさに、私の理想の働きたい会社。笑 

売り上げのために賞味期限の切れた卵を使って

洋菓子をつくらなくてもいいんだよ。

蚊が入ってる!ってクレームがきて、

あら、ごめんなさい!と思ったら、

作るのをすっぱり止められる。

苦しい嘘でごまかして売り上げ伸ばそうとしなくていいんだもんね。


「ありのままに生きるという一見一番楽そうに思えることが、実は一番難しかったりする」

という現実を踏まえながら、

それでも前に進もうとするはじめの一歩に、ぴったりなんじゃないかと思う。

こんな会社がたくさんあればいいのになぁ。つくれたらいいなぁ。


そんなわけで、思っていたような自分じゃないことに気づいてショックを受けたり、

いつまでも自分が何なのかよく分からなかったりすることは、

青春の誰もが通る道だから、

一人で「自分がおかしい」と責める必要はないんだよーーー

と言ってくれているような気がしました

(近頃、私はあきらめのプロなので、すっかり開き直ってるけどさ)。


このごろ同年代の女の子が、

自分の生き方に行き詰っているのをよく見かけます。

昔一緒の時を共有した仲間だったりすると、おせっかい焼きたくなるんだけど、

でも、今はこっそり影ながら

「そんなに苦しまなくていいんだよー。

そんなことじゃ嫌いにならないよーー」

と思ってエールをこっそり送っています(念じているだけだけど)。


早くそんな子に、「うちに来んしゃーーい!」と

言ってあげられるようなおうちに住めたらいいなぁ。


ほんで、過疎の村から豊かなビジネスを始められたらいいなぁ。