だいたいいつもニコイチで、台詞でも歌でもセットだったりする仲良し。仲が良過ぎて、陛下とその妻が似合うか似合わないかで意見が割れ、喧嘩していたりもする。
二人は同じ部署の、長と副長なのか。或いは、一人が諜報部局長で、もう一人は秘密警察のトップだったりするのかもしれない。そのへんは深く追求したことはなく、曖昧にしたままだ。
ただ一つ、クニさんには相談していないが、僕の方が偉いーー或いは優秀ーーなんじゃないかと、こっそり思っている。その根拠は、胸の勲章だ。
実は、ヒューブナーは二つ、対してケンペンは一つしか付けていないのをご存知だろうか。その一つとは、全員が付けている、いわば参加賞みたいなものだ。
少ない方が偉いとはどういう事かと思われるかもしれないが、所属が諜報部ともなれば、表立って叙勲されていないということは、いかに多くの作戦を秘密裏に成功させてきたかという証に他ならない。確実に成果を挙げ、手柄は伯爵や陛下に渡るようにするのが常なのだろう。まっさらの軍服は、優秀さの証明であると同時に、誇りでもあるのだ。
犬猿の仲のシュヴァルツェンベルク侯爵は、演じるクマさん本人も「片側だけ重い」と言うほど、これ見よがしに大量の勲章を胸に付けている。
ケンペン男爵は、それを見てなんて下品なんだと、一層嫌悪を露にするのである。