稽古中盤で行われた衣装合わせ。どうにか去年の衣装をすっぽり着こなす。ただ、二十代で買ったスーツを、三十代で着るようなムッチリ感は否めない。でも、本番までにはもう少し痩せるだろうと、この時はまだ楽観視していた。
それから月日は流れて舞台稽古初日。ど頭のシーン。稽古通りに一生懸命踊り、屈んだ姿勢でお腹に力を入れると、ぱつーん!とズボンのホックが飛んだ。恐れていた事が現実に。
平静を装って踊りながらも、弾け飛んだ金具を自ら回収する。舞台経験が長くなると、こういう事ばっかり上手くなる。
稽古がひと段落したところで、衣装さんにお直しをお願いする。本来は、こういう事は衣装合わせの時点で申告しなければならないので、何食わぬ顔でしれっとお願いしようかとも思ったが、このまま直して貰っても、同じ結果になるのは火を見るより明らかだったので、お願いしてちょっぴりウエストのサイズを大きくして貰った。
舞台稽古中はとても忙しかったろうに、衣装さんは小言もなく笑顔でお直ししてくれた。感謝してます。
基本的にゆったり感のある衣装が多いので、他のものはほぼ心配ないが、もう一つだけ、当確ラインキリキリのズボンがある。
皇居のジョギングで、一刻も早く去年のサイズ感に戻せると良いのだが。