金曜の夜も遅い時間で、電車は疲れきった人で一杯だった。
右隣りに座っていた若い女性も、必死で眠気と闘っていたが、ぐらぐら揺れる振幅はどんどん大きくなり、とうとう耐え切れなくなってかなりの傾斜でよっ掛かってきた。
これがハゲたおじさんなら肩透かしを喰らわせて叩き起こすところだが、それも可哀相だとじっと耐えていると、しばらくしてあることに気付いた。
左隣りに座ったこまが、肩に頭を乗せているのと合わせて自分の姿を想像すると、なんかラブコメの漫画でしか見たことない絵になっている。
モテ期キター
（笑）まさか、こんなに突然モテ期が訪れるとは…。
このまま終点まで行こうかと一瞬考えたが、ちゃんと自分の駅で降りて家路についた。
人生で最初で最後かもしれないモテ期は１０分で終わった。