企業経営の中に「コンプライアンスの徹底」が強く求められていることから、
中小企業においてもコンプライアンス経営を進める企業が増えています。
企業活動に適用される法令を間違いなく遵守することが「コンプライアンス経営」。
中小企業の経営者だから、関係ない!って思っている方も少なくないと思いますので、今回はこのテーマで。
適用対象となる法制度をはじめ、社会や地域のルール、企業内で定めた就業規則や製造品質を守るためのルールなどあらゆるルールを経営陣から従業員に至るまで、正社員、非正規社員を問わず守っていかなくてはなりません。
なかでもしっかり守っておきたい法制度にはどんなものがあるのでしょうか。
労働基準法や労働安全衛生法をはじめ、雇用者や労働者の権利を保障し、保護する法令です。
これらの法令に基づいて定める就業規則の内容の取り決めをはじめ、定めた内容をしっかり守っていくことです。
例えば・・・
・残業代の未払い
・サービス残業
・オーバーワーク
・育児休暇や産休、介護休暇などの取得に対する制限を設ける
・パワハラ、セクハラ、マタハラ
このようなことが起こらないよう徹底する必要があります。
中小企業であっても多くの企業が何らかの顧客情報を扱っています。
ネットショップですと、顧客住所氏名はもちろん、クレジット情報もあります。
プライバシーを守るとともに顧客情報を徹底管理する必要があります。
粉飾決算は不正な会計処理によって実際とは異なる決算書を作成し、財務状況をよく見せる法令順守違反の行為です。
債権者や株主、銀行など、誤った認識を与えてしまうだけでなく、
気づいた時には倒産するなど関係者や従業員に大きな影響を及ぼします。
脱税などをすれば、時にニュースになったりして信用を失うこともありますし、
追徴課税で本来納めるべき税額の数倍の本税や加算税が課されます。
不正受給は誤った申告により、国や自治体からの助成金や補助金を不正に受給する違反行為です。
持続化給付金の不正受給のニュースは後を絶ちません。
持続化給付金のほかには、
実際に雇用していない人の名前でキャリアアップ助成金を申請するなどがあります。
他にも、コンプライアンスとしては以下のようなことを考える必要があります。
・営業秘密、機密情報漏洩
・インサイダー取引
・製造物責任
・企業間取引
このように、多くの経営者にとって、「コンプライアンス遵守」は厳しい規定やルールといった「守り」のイメージを持っています。
経営者は、日々取り組む売り上げ向上、利益の確保、新製品や新サービスの開発といった、いわば「攻め」の経営を優先的に考えているからだといえます。
しかし、コンプライアンスを考えることは本当に「守り」なのでしょうか?
中小企業の経営者、従業員がコンプライアンスについて意識を高めることで、「組織文化」が変わり、「継続的な企業の発展」につながるという事例があります。
いい例がカレーのCoCo壱番屋の「壱番屋」ではないでしょうか。
廃棄カツ流動事件はコンプライアンスを経営の「攻め」に転じたよい例です。
廃棄カツを第三者の産業廃棄物処理業者に依頼したにもかかわらず、不正に横流しを発見したのは同社のパートの方だったそうです。
そしてその方がすぐに本社に報告し、本部が迅速に事実関係を公表しました。
従業員全員が自分のことのように会社のリスクを考え行動できたからこそ会社の社会的評価は守られ、現在の壱番屋の財務状況は総資産も高く純資産も高レベルです。
※㈱SPLENDID21 2021年第二回財務プロ養成講座資料より抜粋
経営者がコンプライアンス遵守の姿勢を見せることで、従業員が自ら考え行動することで「意識改革」が行われrます。
多くの中小企業の経営者の納税申告や決算書の作成をサポートさせていただく中で、
売上向上や利益確保のための行動意識を優先しているものの、法令順守となると消極的になっている経営者にお会いすることもあります。
税金はできれば安くしたいし、
社会保険もできれば払いたくない。
残業代は「みなし残業手当」っていうの設定しているから残業代はらなわくって大丈夫だよね?
うちの業界、そもそもブラックだし、有休も残業もないっていう暗黙のルールがあってね・・・
トドメは、「↑全部守ってたら、会社にお金が残らない!」って。
税金も社会保険も残業もしっかり払って利益が残らない経営状態になるなら、何が悪いのかを認識すること。
コンプライアンス経営を行って利益がでないなら、どこに問題があるのかがしっかり見えてきます。
コンプライアンス経営を行って会社がつぶれるなんて聞いたことがありません。
まっとうな経営を行うことで、しかるべき処方箋が見つかります。
経営者が問題解決意識をもつことで、むしろ経営がよくなってきます。
税金や社保をごまかしていた。
じゃあまずは不正会計を正し、払うべきものを払い、そのうえで、
利益が残らないならば、何がいけないのか。
・売上が少ない・・・顧客数が少ないのか、その顧客はどんな顧客なのか
・粗利益が少ない・・・顧客に対する原価率は妥当なのか。
・経常利益が少ない・・・納税金額ばかりに目が行き、無駄な支出はあるのではないか。
という現状把握を数値で示すことで、経営者の姿勢は論理的な判断が可能になり本来あるべき方向が定まることで、増収増益に繋がります。
売上だけを見ていると、全体を俯瞰することができません。
売上を伸ばすことに集中するあまり、かえって生産性は悪く、お金も増えないってこともあります。
俯瞰することができる財務資料(管理資料)を作成して見てください。
売上を生み出さない管理部門にお金をかけるもんじゃない、って思う方も少なくありません。
管理部門はただ「リスク軽減」のためにあるだけではありません。
適正なリスクを取り成長を続けるために必要な「コンプライアンス経営」
今流行りの「ESG経営」。言葉だけで終わらせたくないですね。
税理士法人耕夢は財務分析による「企業評価」を行っています。
1 成長の定義「倒産から遠ざかること」
2 複雑系の視覚的整理(課題の優先順位の特定)
3 数字を根拠にしたロジカルな説明
4 データマイニング
が可能です。
週末、近所の梅林公園へ。
久しぶりに会った(数週間振りか)姪っ子が可愛すぎる。
梅林公園名物、
植東さんの田楽。
幼いころから馴染みのある大好きなメニューの一つです。宴会も宿泊もできます。
ぜひ県外からも訪れてほしい。