今日は、
岐阜地方裁判所に裁判所見学と刑事事件の裁判を傍聴に行ってきました。
傍聴マニアではないですよ。
裁判所を見学したいという11歳娘のオファーです。
裁判所見学を申し込むと担当者の方が
丁寧に応対していただけます。
まずは、
裁判とは裁判手続きの流れやそこで活躍する
法曹三者の役割などをアニメーション鑑賞させていただきます。
担当者の方からの説明も詳しくお聞きすることができました。
そのあとは、
使われていない法廷を見学させていただけました。
岐阜地方裁判所で二番目に大きい法廷だそうです。
裁判官の席に座って法廷全体を見晴らす景色を眺めご満悦。
次回は最高裁判所長官の席もドサクサに紛れてもいいので座ってみたいですね。
座れるのかしら。
ついでに弁護士さんの席、検察官の席にも座ってみました。
それぞれの席にパソコン画面がついていて、
傍聴席にも大きなスクリーンがあっていろんな証拠書類が
見やすく、裁判を進めやすくなっているんですね。
法廷見学のあとは、裁判傍聴をさせてもらいました。
本日の裁判は、
なんと、裁判員裁判で殺人事件。うん、これぞ、裁判。
その昔、裁判傍聴記録エッセイを何冊か読んだことを思いだしました。
北尾トロ著
「裁判長!これで執行猶予は甘くないすか」
「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」
なかなか面白くてすぐに二冊目を買って読んだものです。
裁判所で繰り広げられる様々な人生ドラマを野次馬根性をもった興味本位の傍聴マニアたちがドラマ鑑賞さながらに見学した記録、です。
ワイドショーなんて比較にならないくらいのリアルな犯罪ドラマがあるのだから。そんな野次馬たちの一般人ならではの感想が面白い本でした。
その後、人気が出始める前の向井理くんが主演でドラマ化されて
深夜に放映されていたような。
でも、断然、本の方が面白かったんですけどね。
さて、裁判傍聴。
入り口で本日の裁判内容をみると、
殺人事件、被告人の名前が記載。この時点ではまだネットで調べられることを調べていないので、裁判の内容がさっぱりわかっていません。
とにかく中へ入れば全貌が明らかになるはず。
で、予定時間。
なんと10時から17時・・・な、長すぎる。。。裁判ってこんなに長いのね…私の予定は昼前までだから、証人尋問、最初の方くらいしか傍聴できない。
傍聴席に入ると、一列目は事件関係者なのかな、複雑な面持ちで見ている方々。二列目以降は裁判の内容を一生懸命メモに記載する人達。わたしは3列目か4列目に座りました。七列くらいあったので割と前の方。だって柵の向こうの人たちの表情に興味があったから。
みんな、一生懸命メモってました。記者なのかなあ。でも仕事っぽい雰囲気はない。
4列目以降は定年退職されたようなお年寄りの方もいらっしゃった。
そして、傍聴人席の柵の向こうは、今まさに人間関係ドロドロの争い、犯罪ドラマさながらの緊迫した光景が広がっていました。
被告人の家族の証人尋問が始まっており、どうやら弁護人が事件にまつわる家族ならではの質問を繰り返していました。質問と回答を聴きながらメモを取り内容を理解するのに必死。
その左側、弁護側の前には刑務官2名に脇を固められ頭をうなだれて
始終うつむいている、小学5年生の娘ですら、くっきりはっきりわかる、
そうこの女性が被告人。
被害者は被告人の障がいをもった息子さん。自身の子供の殺害・・・その状況を聞くだけで、
障がい者の息子さんの介護疲れや将来を悲観しての犯行か?と想像に難くない犯罪ストーリーが頭に浮かびます。
証人として出廷した、被告の家族への弁護人の最後の質問。
弁護側
「被告が出所したらどうしたいですか?」
被告人(被害者)家族
「母は全てを自分1人で背負い込んでました。罪を償ったら亡くなった弟(被害者)と犯行後に亡くなった父のお参りを一緒にしたいです」と涙ながらに答えていました。
まさに涙、悲しみ、ドラマを盛り上げる要素がここで一気に広がるこの瞬間。弁護人はここで一気に情状酌量を訴えているんだろう。
私が座っている傍聴席と柵の向こう側にはまるで違った人生が繰り広げられてる。
誰でも通り抜けられる柵なのに、
まるで別物、乗り越えられない壁が今まさにあるんだと、そう実感せざるを得ない、この法廷の世界。
でも横にいる11歳の娘は、内容をある程度理解できても、
彼女には、目の前で繰り広げられるこの生々しい人間ドラマは、おそらく
巨大なスクリーンに映し出された映像のようににしか見えないんじゃないかな。あまりに壮絶すぎてこの目の前の不幸な現実は到底理解できないだろう。
しかし、明日は我が身という言葉もあるのだし、柵の向こうへの未知なるものの恐怖感というものも抱かざるを得ない。
証人尋問の最後の質問は裁判官からの質問。
なんといっても裁判員は一般市民。一般人目線からどんな質問がでるのだろう。
裁判員は6名。あれ?ほとんど30代の男女じゃない?というくらい若い人ばかり。1名だけ60歳前後の男性がいたくらい。働き盛りの40代50代は参加が難しいのか。
なんか偏ってる面子なんじゃないかとと思いつつ。
法廷の一番奥にずらっと勢ぞろいする裁判官と裁判員の皆さん。
服装からして威風堂々とした裁判官のいでたちに比べ、カジュアルな服装の一般市民の裁判員さんたちのギャップに傍聴人席からは、なんだか裁く人たちのイメージに違和感を持ちました。
とはいえ、私と同じ一般市民である裁判員のからの質問に興味が湧きます。
質問をしたのは60歳前後の裁判員。こんな壮絶な人生ドラマに、的を得た質問を法廷でするなんて若い人たちには難しいことだろうなあ。
内容は、あまり覚えていないけれど、一般市民ならではの素朴な質問だったような。が、専門家の裁判官はやはり質問は短く端的で鋭い。
被告の発言も聞きたかったのですが、私の予定は午前中まで。
残念ながら、途中退席。
傍聴席の柵の向こうの世界に今後とも無縁であることを祈りつつ、裁判所を後にしました。
そして、娘に感想を求めたら、
「私は絶対弁護士になる」とな。
税理士ですら、お金と時間と労力がかかるというのに・・・・
なんとも無謀な夢を抱いたもんだ。
真夏の蒸し暑い今日、今後の教育費を思うとちょっと凍えました。