結婚しない人 | 月かげの虹

結婚しない人


30代前半、男4割・女3割が未婚

いま、少子化の要因として注目されているのが未婚化だ。1950年の生涯未婚率(50歳時点で結婚していない人の割合)は、男女とも1%程度。ほぽ全員が結婚していた。

それが、20OO年になると、生涯未婚率は男性が13%、女性が6%に上がる。

かつて「結婚適齢期」と言われた20代後半をみると、結婚していない人の割合は、1950年が男性34%、女性15%だった。

2000年では男性の69%、女性の54%が未婚だ。30代前半の未婚者の割合も、男性は8%が43%に、女性は6%が27%に増えている。特に1980年ごろからの増え方が著しい。

では、結婚を望まない人は増えているのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所の2002年調査によると、18~34歳の結婚していない人のうち、「一生結婚するつもりはない」と答えたのは、男女とも5%程度だ。

また、男女ともに9割近くが「いずれ結婚するつもり」と答えている。男女ともに95%前後だった82年の調査よりは減っているが、大半の人が結婚しようと思っていることに変わりはない。

ただ、結婚する意思はあっても、未婚のまま過ごす人は確実に増えている。2002年の調査では、30代前半の女性の85%、30代後半の女性の77%が.「いずれ結婚するつもり」と答えている。

しかし、同研究所が2002年に行った推定では、30歳時点で未婚だった女性のうち、将来結婚するのは5割程度とされる。35歳の未婚女性の場合は、7割が未婚のまま過ごすとみられている。

未婚化の背景には雇用の悪化がある、との指摘もある。

フリーターは、04年で213万人とされる。91%の女性が結婚相手に求める条件として「経済力」を挙げていて(02年調査)、低収入は結婚の大きな障害だ。

慶応大の樋口義雄教授(労働経済学)らの研究では、フリーターの未婚男性のうち5年後衷でに結婚した割合は、正社員の半分程度だった。

00年に誕生した第1子のうち、26%が「できちゃった結婚」で生まれた。10代後半では8割だ。

結婚を出産の前提と考える人が多いことを示しているといえ、未婚化は少子化と直結している。

事実婚にも結婚と同じ権利を認め、婚外子差別をなくせば、子どもは増えるとの見方もある。

ただ、そもそも交際相手がいない人は、未婚男性の5割、未婚女性の4割を占めている。こうした現状を受け、出会いの揚作りを支援する動きも出ている。

奈良県は民間のお見合いイベントの案内を、登録した未婚者5千人に送っている。毎回参加希望が多く抽選だ。結婚した数は不明だが、昨年7月以降、約500組のカップルが誕生したという。

大分県も同様の取り組みを始める。経済産業省は、結婚情報サービス業の質を高めようと認証制度の導入を検討している。

東京大の佐藤博樹教授(人事管理)は「出会いがない背景には、人付き合いの範囲の狭さがある。結婚だけを目的にせず、個人のネットワークづくりをどう支援するかという視点で考える必要がある」と話す。

ではなぜ、結婚する人が減っているのだろう。同研究所の岩澤美帆さんが注目するのは結婚のきっかけだ。

70年代に最も多かったお見合い結婚は大幅に減り、次に多かった職場結婚も半減している。

岩澤さんは「出会いの多数を占めていたお見合いや職場結婚が減ったことが、未婚化の大きな要因になっている」と指摘する。

かつて、会社は、職場結婚で女性が「寿退社」し、新たに女性が入社することで出会いの場として機能した。上司も縁結び役を買って出たし、社員旅行など社内の交流も盛んだった。

結婚後も働く女性が増え、結果的に職場結婚は減った。見合いや「職縁」が廃れた分を埋める新たな出会いの場はない。

結婚しない理由のうち最も多いのが、男女とも「適当な相手にめぐりあわない」だ。ただ、「必要性を感じない」「自由、気楽さを失いたくない」との答えも多い。

未婚者への別の調査では、90年代以降、「ある程度の年齢までには結婚する」という人は減り、「理想的な相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」とする人の方が多くなっている。

大半の未婚者に結婚の意思があるとはいえ、熱意は薄れているようにみえる。背景には、結婚のメリットをあまり感じなくなったことがあるようだ。

同研究所の調査をみると、結婚することで「社会的信用が得られる」「親や周囲の期待に応えられる」と考える人が男女ともに減っている。結婚で「生活上便利になる」と考える男性も減った。

言わなきゃ損
「家事は女牲」未婚化の一因
学校で「男女平等」と教えられても、現実には男女差別が存在しています。私は大学時代の就職活動で、まず味わいました。最初に勤めた会社では、同期の男性に負けまいと、朝5時の始発で会社に向かい、退社は午前O時すぎの終電ということもしばしばでした。その当時、結婚は考えられませんでした。結婚後は、世間から女性が家事や育児をするのが当然視されます。男女差別が、結婚しない人を増やす一因だと思います。仕事での差別を女性が乗り越えようとすれば、結婚する余裕はなくなりますし、また、結婚すれば女性だけが仕事や自分の生活を脅かされることがわかるためです。(福岡県 嘱託職員 網本真由子 33歳)

2006年5月28日朝日新聞
結婚しない人が増えています。
何が理由なのでしょう?

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保団連地域医療部 医科歯科合同部会