少サウナ考 | 月かげの虹

少サウナ考


温泉には大抵サウナが付いているが、私はこのサウナが大好きで、湯船に入る前にまずそちらに入る。

サウナ発祥の北欧、フィンランド辺りでは、熱くなった身体をそのまま戸外の雪の中ヘダイビングして冷やすのが醍醐味のようだが、あれは頑強なバイキングの末裔だからできる話で、ヤワなわれわれ大和民族にはちょっと過激のようだ(心臓にも悪そうだしね)。

あちこちのサウナに入ったが、なかなか "これぞ" というサウナはない。もう少し何とかならないかと、サウナの備えるべき条件をちょっと考えてみた。

条件その1、十分に熱いこと。「サウナは熱いに決まっている」と思いきや、実はそうでもない所も多い。室内に設置してある温度計は大概90度前後だが、私は100度-110度くらいあったほうがいい。ただ、この温度計も正確かどうか疑わしいので、自分の体感温度で包み込まれるような熱気がある所がいい。

条件その2、室内が広いこと。狭いサウナは戸の開閉、人の出入りで温度が下がってしまう。

条件その3、人がいないこと。日曜日のサウナはいつも混んでいて、上の段までいっぱいのことも多い。ドアを開けた途端、ビッシリと裸の男が座っていると、一瞬ギョッとしてしまう。

でも、この間の医学講演会で皮膚科の先生が、サウナで倒れた広範囲重症熱傷のスライドを出していた。まったくの一人は危険かも知れない。

条件の最後、静かなこと。ただただ熱せられる石の音が時々聞こえるなかで、滴り落ちる汗もそのままに、静かに "じーっ" と座っている。これがベスト。Sound of Silence、「静寂は金」である。(一部省略)

石川 健「少サウナ考」
岩手県水沢医師会月報
495号より

日医ニュース
No.1069
2006.3.20

日本医師会