さてさて、久しぶりの所感です。
ここのところ、仕事のフラストレーションが極限近く高まっており、小説の世界へ身を置くことが難しく、あまり良い状態とは言えず。
こんなササクレだったココロにじんわりと染みてくるのが、本作。
- 新装版 三年坂 (講談社文庫)/伊集院 静
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はい、作家の処女作です。
「三年坂」「乳房」「受け月」、伊集院静の短編三部作、と勝手に呼んでいます。
中でも本作は、大人になって心にずっと引っかかっている棘(これ、誰にもありますよね)を
甘くも苦々しくも思い起こさせる一冊です。
ゆっくりと時間をかけて読んでしまいます。展開がゆったりしているのと、
風景素描や心象風景が脳裏に、それはあまりにもくっきりと、浮かび上がるからでしょうか。
ん~純文学とも違うのですよ、かといってエンターテインメント性は一切なし。
小説というくくりではなく、いわば「ものがたり」です。訥々と読ませてくれる「ものがたり」なんですね。
だからパンチ力も、サプライズも、どんでん返しも不要。
本書には「三年坂」「皐月」「チヌの月」「水澄(みずすまし)」「春のうららの」の五編。
印象深いのは皐月。しかし五編ともちょうどよい具合です。