思い返せば、前の学校ではお迎えの時間になると、どこか影のある表情で帰ってくる日が続いていました。
「僕には友達がいないんだ…」そうつぶやく千悟の声は、小さくて、でも私の胸に刺さりました。
実際には友達はいました。それでも、本人の中では“自分は一人だ”と感じてしまう何かがあったのだと思います。あの頃の千悟は、本来の明るさを失っているように見えて、心配でした。
そんな頃、ちょうど長男・大悟の中学進学の時期が重なり、家族でチェンマイ中の学校を巡ってみることにしました。幼稚園からずっと同じ学校に通い、外へ目を向けたことのなかった私たちにとって、とチェンマイの“多様な学校の世界”は「こんなにも子どもたちの個性や可能性に寄り添う選択肢があるのか!」と驚きの連続で、とても興味深いものでした。
その中で千悟が、文字通り目を輝かせた学校があったのです。見学の日、校内を歩く千悟の足取りはとても軽く、先生たちと話す声も弾み、帰り際にはこう言ったのです。
「僕、ここに行きたい!」
その言葉は本当に力強くて、確信に満ちていて、とても光り輝いていました。それを見て私たちは即転校を決断しました。
そうして今年の8月から始まった新しい学校生活。
千悟は毎日、満面の笑みと満ち足りた表情で帰ってきます。
「今日はね、こんなことがあったんだよ!」
前の学校では一度も聞けなかった“学校での楽しい出来事”を、止まらない勢いで話してくれます。
仲の良い友達もできました^_^
そして気づけば、あの頃の千悟よりも、ずっとずっと明るく、伸びやかで、生き生きとしている。
自分からサッカークラブに入り、ご飯ももりもり食べるようになって、まるで心のつぼみが一気に花開いたかのようです。
千悟は私に何度も言います。
「転校させてくれてありがとう!あの学校に行けて最高に幸せ!」
それを言われるといつも胸が熱くなって涙がこぼれそうになります。子どもの“心からの笑顔”という答えほど、確かなものはありません。
環境を変えることを恐れなくて良かった。
子どもが自分らしく輝ける場所は、必ずどこかにある。千悟がそう教えてくれています。







