イムリ完読しました~!!!

読み終わった今、大きな感動が泉のように静かにけれど力強く湧きあがってきておりますドキドキ

 

イムリは三宅乱丈さんの著書です。

 

月刊コミックビーム2006年8月号から2020年8月号まで14年間連載され、単行本は26巻で完結しています。

イムリは本当に素晴らしい作品ですキラキラ

私が最初にイムリに出逢ったのは何年も前ですが、その時はまだ完結しておらず

話がどこに向かっていくのか読めずに、とにかく続きをひたすら待っておりました。

 

それから数年。

海外に住んで浦島太郎状態の私はイムリが完結しているのを知らず!!

最初から読み直して一気に完読し、今大きな感動と共にこのブログを書いているわけです。

「とりあえず読んでくれ!!」と言いたいところですが、それも雑すぎるので、

ザックリ簡単にどんな話か書いてみることにします。

 

なるべくネタバレしないように気を付けて書いてみますが、あらすじも欲しくない方は、真ん中飛ばしてくださいませ!

 

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イムリの世界

 

階級制度、支配者、奴隷、原住民、全て私たちの世界でも実際に起きている事象が描かれています。

複雑に入り組んだ3つの世界を明確に細分化して描写されており、登場人物の心の動きもとても分かりやすいです。

 

3つの種族
イムリには、「カーマ」「イコル」「イムリ」の3つの種族が出てきます。

カーマ 支配層で新型の兵器と呪文で他種族を制圧し奴隷化。
イコル 奴隷としてカーマに虐げられている。
イムリ 原住民で自然と共に生きている。


2つの惑星
物語の舞台は「マージ」と「ルーン」の2つの惑星です。

惑星マージ カーマが住む都市。(イコルもここで奴隷として生きている)
惑星ルーン イムリが太古からの自然と共に生きている。

物語の背景
当初、惑星ルーンに生きていたカーマとイムリは激しい戦争を繰り広げ、カーマの兵器によって惑星ルーンは凍結してしまいます。
カーマは隣の惑星マージに移住し、4000年かけて文明社会を築きますが、惑星マージでは子供が生まれません。カーマは長い凍結から覚めつつある惑星ルーンへの帰郷計画を立てはじますが、惑星ルーンにはかつての敵であるイムリが住んでいるのです。

文明社会のカーマ達から見た他民族
イコル→奴隷。「古くなったら捨てて新しいのを得ればいい」と完全に道具扱い。
イムリ→原住民。「野蛮な未文明の生き物」と人以下の扱い。

カーマの社会の支配者
カーマは「呪師」と「軍」の2権制度が敷かれ、カーマの市民に階級制度を敷き、イコルを支配し、イムリも統治下におきたいと画策する。

呪師は、特定の血統に属するものだけが特定の地位につける世襲制。
(インドのバラモンは王族よりカーストが高いとされていましたが、そんな感じを創造すればわかりやすいと思います。)
彼らは術を使って人の心を操るので、市民に怖れられている。

・・・


主人公 デュルク

この物語の中心でキーパーソンとなる主人公の名前はデュルクと言います。

デュルクは支配層のカーマとして育てられますが、実は原住民イムリの血を引いているのです。

支配層で育ち、将来を嘱望され、何の疑問も持たずに生きてきたドュルクですが、

出逢う人々に触発を受けて、

自分は何も見ず、何も感じずまさに「心なく」生きて来たことを知り、「心」が芽生え始めますクローバー

一度芽生えた心は消すことが出来ません。

けれど、この世界で心を持ち生きていくことの大変さも知るのです。

心が無ければ、何も見ず何も感じなければ「偽の幸せ」の中で生きていられましたが

心をもったら、強さと勇気が必要になります。

デュルクは、ある事件がきっかけで惑星カーマを追われ、惑星ルーンに辿り着き、

そこで原住民イムリたちと行動を共にし、

イムリとカーマの橋渡しをするために行動をし始めますが、

カーマもイムリもお互いを激しく憎んでいるために、思うようには行きません。

それでも信じることをやめずに、理解されなくても何度でも何度でも交渉を繰り返すデュルク。

デュルクの言葉の一つ一つに胸打たれます。

デュルクは決して強い存在ではなく、いつも不安で、行くべき道も迷いながら進んでいきます。

カーマの武器の恐ろしさが理解できていない無鉄砲な武闘派イムリ達には「臆病者」と罵られ、それでも和平への道を模索し続けます。

デュルクの言動の一つ一つがとても人間らしく、私はそこにも共感を感じました。


人々の大きな期待を背負ってしまった重圧を受けながら、

絶望しそうになっても、先に進んでいこうとする姿勢や心の在り方が

人々を照らす光となって、イムリの原住民たちを支え続けています。

この人間ドラマだけでも大変読み応えのあるものですが、

それ以外に、石や木と呼ばれる12種類の種のような道具を体内に宿すことによって、そ道具の持つ力を使えるようになるのです。(例えば木を宿すと空が飛べる)
この術はイムリの民だけに伝えられ、他の種族は使うことが出来ません。
そしてこの道具には宿す順番があって、順番を間違えると身体が獣化してしまうという危険をはらむ物でもあります。

物語は、この12種類(厳密には13種類)の道具の正しい宿し方を解明する旅をしながら進んでいきます。

この道具で最新テクノロジーの兵器を持つカーマにどこまで挑めるのか?

さらにさらに、生まれながらにして生き別れとなったデュルクの双子の兄弟ミューバも登場し、壮大な物語が繰り広げられていきます。


怒りに身を任せて未来を諦めてはいけない。
敵はまず自分自身と知ることだ。
自由への戦いは自分自身との戦いなのだ。  byラルド覚者


選択肢が与えられなければ、それはただの服従です。
服従で民の心を殺めてはいけません。
選択肢は財産です。                 by賢者


何も自分で決めずに、全て決められたとおりに生きたら楽かもしれません。

心をもち、自分で選択することの難しさと大切さを教えてくれる、素晴らしい作品です宝石赤

文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞!


そりゃそうだ!!


ダ・ヴィンチ「絶対はずさない!プラチナ本」選出!


おめでとう!!!

私はネット漫画で読みましたが、単行本も買います!!


超絶おススメ~~~!!!

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

愛と光をこめてラブラブ

 

長谷川陽子