「不死身の特攻兵」という漫画を読みました。


(元・第三舞台の劇作家であり演出家の)


鴻上尚史さんが原作ということで興味を引かれて読み始めましたが、


一話読んだら、先が気になって止められなくて、チェンマイからバンコクまでの移動中に全102話完読してしまいました。



この話は、なんと9回も特攻に出撃しながらも、生き残ることの出来た佐々木友次さんの人生を描いたノンフィクションです。


この漫画は、もともとは鴻上さんの小説が漫画化されたものだとは知りませんでした。



私は、若い頃からバックパッカーで東南アジア諸国を旅していましたが、


戦争の傷痕がないところはまずなく、


大抵の場所に日本軍の進軍の歴史がありました。


現在、世界では未だ戦争は行われているので,完全に平和とは言えませんが、それでも戦争を行っていない日本人の私が,世界の至る所で遭遇する日本軍の歴史を目の当たりにしたときに、いつもとても複雑な気持ちになり、どんな気持ちでそれを見ればいいのか分からなくなるので、


まずは向き合うことから始めようと思い、主に太平洋戦争から第二次世界大戦について調べるようになりました。


佐々木さんは特攻兵でありながら、爆弾ごと艦隊への突撃玉砕を選ばずに、爆弾を投下して、帰還を繰り返しました。


佐々木さんは当然死んでいるものと思われ、死亡通知が出されました。


にも関わらず、生き残っていることに上官たちは命令違反を犯していると怒り狂い糾弾し、佐々木さんに「死亡通知通りに死んでこい」と、無茶な特攻を何度も何度も繰り返させます。


・・・


私の祖父は第二次世界大戦で日本兵2万人のほとんどが戦死したと言われる硫黄島の生き残りです。


更には約1万人のアメリカ兵と約900人の日本兵が戦い日本兵はほぼ全滅したと言われるガダルカナルでも生き残り、


今回取り上げている「不死身の特攻隊」の舞台となっているフィリピンでも生き残ったそうです。


祖父は私が小学生の時に他界してしまったので、詳しい話は聞けませんでしたが、戦争の時のことは話したがらなかったそうです。


けれどそんな中で私の母にポツリポツリと話した数少ない話の中で、印象深いのは


日本軍の上官による不条理な私的制裁の話でした。


全ての人がそうだったわけではないと思うのですが、


上司の不興を買って、厳しい役割を与えられたり、最悪のシチュエーションとしては最前線の死線に優先的に送られてしまうというということはあったそうです。


祖父は戦闘機の整備兵だったそうですが、将棋が強く上官の将棋相手を務めていたおかげで難を逃れていたそうですが、それでも理不尽な目に遭う仲間を見続けて、戦争そのものより日本軍の陰湿さに嫌気がさしていたように聞こえました。


・・・


戦争を調べれば調べるほど、精神性だけで世界を相手にしていた日本帝国軍のあの渦中にいながら、ましてや特攻兵でありながら9回も特攻に出て生き残るなんてことはありえない話です。


最初に本の説明文を読んだ時は、ものすごい強運の持ち主なのかと思いました。


奇跡の連続なのかと思いました。


それで興味を持って読んでみたら、


私の想像とは全く違うものでした。


たしかに強運の持ち主。


たしかに奇跡の連続。


けれどそれだけじゃない、


そこには「強い強い意志」がありました。


あの環境で、あれだけ自己の意志を貫けるという人に関して想像が出来ません。


想像できるわけないですよね。


だって私たちはその場にいなかったんだから。


特攻を繰り返して、共に出撃した仲間はどんどん死んでいき、


上官には「お前も死んでこい!」と檄を飛ばされ続け、


「特攻のくせに生き残ることは恥」という固定概念を皆が持つ世の中を想像できますか?


それだけではなく、アメリカの進軍により最終的には山の中に逃げて泥水をすすり


マラリアやデング熱などの風土病や、暑さ、飢えとも戦い続けて、


「敵の捕虜になるくらいなら玉砕しろ」と言われながらも佐々木さんは生き続けます。


私たちは体験することはできませんし、したくもないよね。


だからこそ。


知るべきだと思いました。


重い話題ですいません(^◇^;)


けれど、オススメです✨


勇気を持って話してくれた佐々木さんに敬意を持って、戦後私たちが忘れてしまった日本人の精神性を知り、


今の自分と日本の歴史を融合させて、新しい日本人のアイデンティティの確立をすることが、国際人として生きるためにも、唯一核爆弾を投下された国である日本人として生きるためにも


大切なのではないかと思います。


最後まで読んでくださってありがとうございました。


愛と光をこめて💖


長谷川陽子